2015年3月25日水曜日

「返り点」と「括弧」(2.5)。

ブロガー15
このブログは、PC上では「縦書き」で表示され、マウスポインタが、「縦書きの部分」にある時に、マウスのホイールを回すと、左右にスクロールし、「横書きの部分」では、上下にスクロールします。下に見えてゐる、スクロールノブでスクロールする場合は、左右にだけスクロールします。
(〇一)
① 欲一レ字。
② 欲漢文上レ
③ 欲漢字
④ 欲漢文漢字
⑤ 有
⑥ 有漢文
⑦ 有漢字
⑧ 有漢文漢字
に対する「書き下し文」は、
文を読み字を学ばんと欲す。
② 漢文を読み字を学ばんと欲す。
文を読み漢字を学ばんと欲す。
④ 漢文を読み漢字を学ばんと欲す。
文を読み字を学ぶ者有り。
⑥ 漢文を読み字を学ぶ者有り。
文を読み漢字を学ぶ者有り。
⑧ 漢文を読み漢字を学ぶ者有り。
であって、これらは、全て、
1 連続した二字を転倒させる場合は、必ずレ点を用い、他の返り点を用いてはならない。
2 連続した二字の上下を転倒させる以外の場合に、レ点を用いてはならない。
(古田島洋介、これならわかる返り点、2009年、五七・五八頁)
といふ「ルール」を、満たしてゐる。
然るに、
(〇二)
1 連続した二字を転倒させる場合は、必ずレ点を用い、他の返り点を用いてはならない。
といふ「ルール」が無ければ、
① 欲
② 欲漢文
③ 欲漢字
④ 欲漢文漢字
⑤ 有
⑥ 有漢文
⑦ 有漢字
⑧ 有漢文漢字
といふ「返り点」は、「正しい」。
然るに、
(〇三)
⑤ 有
⑥ 有漢文
⑦ 有漢字
⑧ 有漢文漢字
に対する、
⑤ 有
⑥ 有漢文
⑦ 有漢字
⑧ 有漢文漢字
に於いて、

漢文
字字
漢文漢字
といふ「返り点」は、

漢文
漢字
漢文漢字
といふ「返り点」に等しい。
従って、
(〇三)により、
(〇四)
⑤ 有
⑥ 有漢文
⑦ 有漢字
⑧ 有漢文漢字
といふ「返り点」は、
⑤ 有〔読(文)学(字)者〕。
⑥ 有〔読(漢文)学(字)者〕。
⑦ 有〔読(文)学(漢字)者〕。
⑧ 有〔読(漢文)学(漢字)者〕。
といふ「括弧」に等しい。
(〇五)
① 欲
② 欲漢文
③ 欲漢字
④ 欲漢文漢字
に関しては、
① 下
② 下漢一
③ 下漢上
④ 下漢一漢上
といふ風に、「書き換へ」る。
然るに、
(〇六)
① 下)(上=
① 下〔二(一)(中)上〕。
に於いて、
下〔〕を、
〔 〕下 に変へ、
二(一)を、
(一)二 に変へ、
中(上)を、
(上)中 に変へると、
① 下〔二(一)中(上)〕=
①〔(一)二(上)中〕 下=
〔( 下。
従って、
(〇五)(〇六)により、
(〇七)
① 欲
① 文を読み字を学ばんと欲す。
といふ「返り点」は、
① 欲〔読(文)学(字)〕=
① 〔(文を)読み(字を)学ばんと〕欲す。
といふ「括弧」に、相当する。
従って、
(〇七)により、
(〇八)
④ 欲漢文漢字
④ 漢文を読み漢字を学ばんと欲す。
といふ「返り点」は、
④ 欲〔読(漢文)学(漢字)〕=
④ 〔(漢文を)読み(漢字を)学ばんと〕欲す。
といふ「括弧」に、相当する。
従って、
(〇五)~(〇八)により、
(〇九)
① 欲
② 欲漢文
③ 欲漢字
④ 欲漢文漢字
といふ「返り点」は、
① 欲〔読(文)学(字)〕。
② 欲〔読(漢文)学(字)〕。
③ 欲〔読(文)学(漢字)〕。
④ 欲〔読(漢文)学(漢字)〕。
といふ「括弧」に等しい。
従って、
(〇四)(〇九)により、
(一〇)
① 欲
② 欲漢文
③ 欲漢字
④ 欲漢文漢字
⑤ 有
⑥ 有漢文
⑦ 有漢字
⑧ 有漢文漢字
といふ「(レ点の無い)返り点」は、
① 欲〔読(文)学(字)〕。
② 欲〔読(漢文)学(字)〕。
③ 欲〔読(文)学(漢字)〕。
④ 欲〔読(漢文)学(漢字)〕。
⑤ 有〔読(文)学(字)者〕。
⑥ 有〔読(漢文)学(字)者〕。
⑦ 有〔読(文)学(漢字)者〕。
⑧ 有〔読(漢文)学(漢字)者〕。
といふ「括弧」に、等しい。
従って、
(〇一)(〇二)(一〇)により、
(一一)
① 欲一レ字。
② 欲漢文上レ
③ 欲漢字
④ 欲漢文漢字
⑤ 有
⑥ 有漢文
⑦ 有漢字
⑧ 有漢文漢字
といふ「(レ点が有る)現行の返り点」は、
① 欲〔読(文)学(字)〕。
② 欲〔読(漢文)学(字)〕。
③ 欲〔読(文)学(漢字)〕。
④ 欲〔読(漢文)学(漢字)〕。
⑤ 有〔読(文)学(字)者〕。
⑥ 有〔読(漢文)学(字)者〕。
⑦ 有〔読(文)学(漢字)者〕。
⑧ 有〔読(漢文)学(漢字)者〕。
といふ「括弧」に、等しい。
然るに、
(一二)
丸括弧の導入により、一二点・上下点などの各種の返り点は不要となり、レ点のみで用が足りる(松本巌、漢文訓読の返り点に括弧を導入して構造化する試み(Adobe PDF) - htmlで見 る)。
従って、
(一一)(一二)により、
(一三)
⑧ 有漢文漢字
⑧ 有〔読(漢文)学(漢字)者〕=
⑧ 有(読(漢文)学(漢字)者)。
といふ「返り点・括弧」は、
⑧ 有(読(漢文)学(漢字)者)。
に等しい。
然るに、
(一四)
⑧ 有〔読(漢文)学(漢字)者〕=
⑧ 有(読(漢文)学(漢字)者)=
⑧ 有(読(漢文)学(漢字)者)。
である以上、
⑧ 有(読(漢文)学(漢字)者)。
に於いて、
(読(漢文)学
は「不要」である。
然るに、
(一五)
⑧ 有漢文漢字
⑧ 有漢文漢字
に於ける、
漢文
は、不要である。
従って、
(一三)(一四)(一五)により、
(一六)
⑧ 有漢文漢字
⑧ 有(読(漢文)学(漢字)者)。
に於いて、
漢文
(読(漢文)学
は「不要」である。
(一七)
⑨ 使(籍誠不(以(畜(妻子)憂(飢寒))乱心)有(財銭)以済(医薬))。
に於いて、
⑨ 乱(心)
ではなく、
⑨ 乱
である。
然るに、
(一八)
丸括弧内の文字列は、丸括弧外の文字列との関係において一文字として扱う(松本巌、漢文訓読の返り点に括弧を導入して構造化する試み(Adobe PDF) - htmlで見る)。
従って、
(一七)(一八)により、
(一九)
⑨ 乱心。
といふ「レ点」は、
⑩ 乱(心)
といふ「レ点と丸括弧」に等しい。
従って、
(一七)(一九)により、
(二〇)
⑨ 使(籍誠不(以(畜(妻子)憂(飢寒))乱心)有(財銭)以済(医薬))。
といふ「レ点と丸括弧」は、
⑩ 使(籍誠不(以(畜(妻子)憂(飢寒))乱(心))有(財銭)以済(医薬))。
といふ「レ点と丸括弧」に等しい。
然るに、
(二一)
⑩ 使(籍誠不(以(畜(妻子)憂(飢寒))乱(心))有(財銭)以済(医薬))。
から、
使(籍誠不(以(畜(妻子)憂(飢寒))乱(心))有(財銭)以済(医薬))。
を除くと、
⑩ 使(籍誠不(以(畜(妻子)憂(飢寒))乱(心))有(財銭)以済(医薬))。
(二二)
⑩ 使(籍誠不(以(畜(妻子)憂(飢寒))乱(心))有(財銭)以済(医薬))。
では、「読みにくい」ため、
( )
〔 〕
[ ]
{ }
を用ゐて、
⑩ 使{籍誠不[以〔畜(妻子)憂(飢寒)〕乱(心)]有(財銭)以済(医薬)}。
とする。
然るに、
(二三)
「漢字」
「漢字「返り点」
「漢字「返り点」を「逆」にすると、
⑩ 使籍誠不妻子飢寒財銭以済医薬
⑩ 人使籍誠丙妻一飢一財一以地医天
然るに、
(二四)
⑩ 人{丙[下〔二(一)二(一)上〕乙(甲)]二(一)地(天)}⇒
⑩ {[〔(一)二(一)二上〕下(甲)乙]丙(一)二(天)地}人。
従って、
(二一)(二二)(二三)により、
(二五)
⑩ 使{籍誠不[以〔畜(妻子)憂(飢寒)〕乱(心)]有(財銭)以済(医薬)}=
⑩ {籍をして誠に[〔(妻子を)畜ひ(飢寒を)憂ふるを〕以て(心を)乱さ]不(財銭)有りて以て(医薬を)済さ}使む。
といふ「括弧」は、
⑩ 使籍誠不妻子飢寒財銭以済医薬
⑩ 籍をして誠に妻子を畜ひ飢寒ふるをて心を乱さ不財銭りて以て医薬を済使む。
といふ「返り点」に、等しい。
従って、
(一七)~(二五)により、
(二六)
⑨ 使(籍誠不(以(畜(妻子)憂(飢寒))乱心)有(財銭)以済(医薬))。
といふ「レ点と丸括弧」は、
⑩ 使(籍誠不(以(畜(妻子)憂(飢寒))乱(心))有(財銭)以済(医薬))=
⑩ 使{籍誠不[以〔畜(妻子)憂(飢寒)〕乱(心)]有(財銭)以済(医薬)}。
といふ「括弧」に、等しい。
従って、
(二六)により、
(二七)
⑨ 使(籍誠不(以(畜(妻子)憂(飢寒))乱心)有(財銭)以済(医薬))。
に於ける、
使(籍誠不(以(畜(妻子)憂(飢寒))乱心)有(財銭)以済(医薬))。
は、不要である。
(二八)
⑪ 読漢文
⑪ 漢文を 読む。
に於いて、
二 一=( )
とすれば、
⑪ 読漢文
⑪ 読漢文
⑪ 読(漢文)。
といふ「等式」が、成立する。
(二九)
⑫ 読文=
⑫ 読
⑫ 文を 読む。
に於いて、
二 =二 一
二 一=( )
とすれば、
⑫ 読文=
⑫ 読
⑫ 読
⑫ 読(文)。
といふ「等式」が、成立する。
従って、
(二八)(二九)により、
(三〇)
⑫ 読文。
⑬ 読(漢文)。
といふ「レ点と丸括弧」は、
⑫ 読(文)。
⑪ 読(漢文)。
といふ「括弧」に、等しい。
従って、
(一二)~(三〇)により、
(三一)
丸括弧の導入により、一二点・上下点などの各種の返り点は不要となり、レ点のみで用が足りる。と同時に、レ点自体が、不要となる。
(三二)
⑬ 不〔読(文)〕。
⑭ 不〔読(漢文)〕。
であれば、
⑬〔( )〕
⑭〔( )〕
は、「等しい」。
従って、
(三二)により、
(三三)
⑬〔( )〕
⑭〔( )〕
が「構造(structure)」であるならば、
⑬ 不読文=文を読まず。
⑭ 不読漢文=漢文を読まず。
に於ける「構造(structure)」は「等しい」。
然るに、
(三四)
⑬ 不文。
⑭ 不(漢文)。
に於いて、

漢文
は、「等しく」はない。
従って、
(三四)により、
(三五)

漢文
といふ「二通り」が、「構造(structure)」であるならば、
⑬ 不読文=文を読まず。
⑭ 不読漢文=漢文を読まず。
に於ける「構造(structure)」は「等しく」ない。
従って、
(三五)により、
(三六)
⑬ 不読文=文を読まず。
⑭ 不読漢文=漢文を読まず。
に於ける「構造(structure)」が「等しい」のであれば、

漢文
は、「構造(structure)」ではない。
平成二七年〇三月二五日、毛利太。

2015年3月22日日曜日

「返り点」と「括弧」(1.5)。

ブロガー13.5
このブログは、PC上では「縦書き」で表示され、マウスポインタが、「縦書きの部分」にある時に、マウスのホイールを回すと、左右にスクロールし、「横書きの部分」では、上下にスクロールします。下に見えてゐる、スクロールノブでスクロールする場合は、左右にだけスクロールします。
(〇一)
 以前はレ点の原則がゆるやかでした。特に付帯事項2は意識されないことも多く、たとえば「登竜門」を「竜門に登る」と訓読する場合、次のような返り点を打つこともあったのです。
白白白白白白白si りゅうもんsのぼ
【誤】登竜‐門=竜門に登る。
「竜門」の二字をハ イ フ ン
「竜門」の二字を連続符号でつなぎ、レ点で「登」に返していますが。これは現行の返り点では認められません。
(古田島洋介、これならわかる返り点、2009年、五八頁)
従って、
(〇一)により、
(〇二)
【正】登竜‐門=竜門に登る。
といふ「返り点」を認める限り、
① 欲文学一レ字。
② 欲漢‐文学一レ字。
③ 欲文学一レ漢‐字。
④ 欲漢‐文学一レ漢‐字。
⑤ 有文学字者
⑥ 有漢‐文学字者
⑦ 有文学漢‐字者
⑧ 有漢‐文学漢‐字者
といふ「返り点」は、
文を読み字を学ばんと欲す。
② 漢文を読み字を学ばんと欲す。
文を読み漢字を学ばんと欲す。
④ 漢文を読み漢字を学ばんと欲す。
文を読み字を学ぶ者有り。
⑥ 漢文を読み字を学ぶ者有り。
文を読み漢字を学ぶ者有り。
⑧ 漢文を読み漢字を学ぶ者有り。
といふ風に、「訓読」出来る。
(〇三)
1 連続した二字を転倒させる場合は、必ずレ点を用い、他の返り点を用いてはならない。
といふ「ルール」が無ければ、
① 欲
② 欲漢文
③ 欲漢字
④ 欲漢文漢字
⑤ 有
⑥ 有漢文
⑦ 有漢字
⑧ 有漢文漢字
といふ「返り点」は、
文を読み字を学ばんと欲す。
② 漢文を読み字を学ばんと欲す。
文を読み漢字を学ばんと欲す。
④ 漢文を読み漢字を学ばんと欲す。
文を読み字を学ぶ者有り。
⑥ 漢文を読み字を学ぶ者有り。
文を読み漢字を学ぶ者有り。
⑧ 漢文を読み漢字を学ぶ者有り。
といふ風に、「訓読」出来る。
然るに、
(〇四)
レ点 連続した二字の上下を転倒させる。
 付帯事項
1 連続した二字を転倒させる場合は、必ずレ点を用い、他の返り点を用いてはならない。
2 連続した二字の上下を転倒させる以外の場合に、レ点を用いてはならない。
(古田島洋介、これならわかる返り点、2009年、五七・五八頁)
従って、
(〇四)により、
(〇五)
「(学校で習ふ)現行の返り点」としては、
① 欲一レ字。
② 欲漢文上レ
③ 欲漢字
④ 欲漢文漢字
⑤ 有
⑥ 有漢文
⑦ 有漢字
⑧ 有漢文漢字
だけが、「正しい」。
従って、
(〇一)~(〇五)により、
(〇六)
2 連続した二字の上下を転倒させる以外の場合に、レ点を用いてはならない。
が故に、
② 二 レ ‐ 一レ 。
③ 二 レ 一レ ‐ 。
④ 二 レ ‐ 一レ ‐ 。
⑥ 二 レ ‐ レ 一。
⑦ 二 レ レ ‐ 一。
⑧ 二 レ ‐ レ ‐ 一。
といふ「返り点」は、「マチガイ」であって、
1 連続した二字を転倒させる場合は、必ずレ点を用い、他の返り点を用いてはならない。
が故に、
② 下 二 一 中 上。
③ 下 二 一 中 上。
④ 下 二 一 中 上。
⑥ 下 二 一 二 一 上。
⑦ 下 二 一 二 一 上。
⑧ 下 二 一 二 一 上。
といふ「返り点」は、「マチガイ」であって、
1 連続した二字を転倒させる場合は、必ずレ点を用い、他の返り点を用いてはならない。
2 連続した二字の上下を転倒させる以外の場合に、レ点を用いてはならない。
が故に、
① 二 レ 一レ 。
② 下 二 一 上レ 。
③ 三 レ 二 一。
④ 下 二 一 中 上。
⑤ 二 レ レ 一。
⑥ 下 二 一 レ 上。
⑦ 下 レ 二 一 上。
⑧ 下 二 一 二 一 上。
といふ「返り点」は、「正しい」。
従って、
(〇六)により、
(〇七)
1 連続した二字を転倒させる場合は、必ずレ点を用い、他の返り点を用いてはならない。
2 連続した二字の上下を転倒させる以外の場合に、レ点を用いてはならない。
といふ「ルール」が、無ければ、
① 二 レ 一レ 。
② 二 レ ‐ 一レ 。
③ 二 レ 一レ ‐ 。
④ 二 レ ‐ 一レ ‐ 。
⑤ 二 レ レ 一。
⑥ 二 レ ‐ レ 一。
⑦ 二 レ レ ‐ 一。
⑧ 二 レ ‐ レ ‐ 一。
① 下 二 一 中 上。
② 下 二 一 中 上。
③ 下 二 一 中 上。
④ 下 二 一 中 上。
⑥ 下 二 一 二 一 上。
⑦ 下 二 一 二 一 上。
⑧ 下 二 一 二 一 上。
① 二 レ 一レ 。
② 下 二 一 上レ 。
③ 三 レ 二 一。
④ 下 二 一 中 上。
⑤ 二 レ レ 一。
⑥ 下 二 一 レ 上。
⑦ 下 レ 二 一 上。
⑧ 下 二 一 二 一 上。
といふ「二四通りの、返り点」は、「正しい」。
然るに、
(〇八)
⑤ 有
⑥ 有漢文
⑦ 有漢字
⑧ 有漢文漢字
といふ「括弧」は、
⑤ 有
⑥ 有漢文
⑦ 有漢字
⑧ 有漢文漢字
といふ「返り点」に、相当する。
然るに、
(〇九)
① 欲
① 下
とすることが、出来る。
従って、
(一〇)
① 下
① 欲
① 文を読み字を学ばんと欲す。
然るに、
(一一)
① 下)(上=
① 下〔二(一)(中)上〕。
に於いて、
下〔 〕を、
〔 〕下 に変へ、
二(一)を、
(一)二 に変へ、
中(上)を、
(上)中 に変へると、
① 下〔二(一)中(上)〕=
①〔(一)二(上)中〕 下=
〔( 下。
従って、
(一〇)(一一)により、
(一二)
① 欲
① 文を読み字を学ばんと欲す。
といふ「返り点」は、
① 欲〔読(文)学(字)〕=
① 〔(文を)読み(字を)学ばんと〕欲す。
といふ「括弧」に、相当する。
従って、
(一二)により、
(一三)
① 欲
② 欲漢文
③ 欲漢字
④ 欲漢文漢字
といふ「返り点」は、
① 欲〔読(文)学(字)〕=
① 〔(文を)読み(字を)学ばんと〕欲す。
② 欲〔読(漢文)学(字)〕=
② 〔(漢文を)読み(字を)学ばんと〕欲す。
③ 欲〔読(文)学(漢字)〕=
③ 〔(文を)読み(漢字を)学ばんと〕欲す。
④ 欲〔読(漢文)学(漢字)〕=
④ 〔(漢文を)読み(漢字を)学ばんと〕欲す。
といふ「括弧」に、相当する。
従って、
(〇八)(一三)により、
(一四)
① 欲
② 欲漢文
③ 欲漢字
④ 欲漢文漢字
⑤ 有
⑥ 有漢文
⑦ 有漢字
⑧ 有漢文漢字
といふ「返り点」は、
① 欲〔読(文)学(字)〕。
② 欲〔読(漢文)学(字)〕。
③ 欲〔読(文)学(漢字)〕。
④ 欲〔読(漢文)学(漢字)〕。
⑤ 有〔読(文)学(字)者〕。
⑥ 有〔読(漢文)学(字)者〕。
⑦ 有〔読(文)学(漢字)者〕。
⑧ 有〔読(漢文)学(漢字)者〕。
といふ「括弧」に、「置き換へ」ることが、出来る。
従って、
(〇五)(一四)により、
(一五)
① 欲一レ字。
② 欲漢文上レ
③ 欲漢字
④ 欲漢文漢字
⑤ 有
⑥ 有漢文
⑦ 有漢字
⑧ 有漢文漢字
といふ「(学校で習ふ)返り点」が表す「語順」は、
① 欲〔読(文)学(字)〕。
② 欲〔読(漢文)学(字)〕。
③ 欲〔読(文)学(漢字)〕。
④ 欲〔読(漢文)学(漢字)〕。
⑤ 有〔読(文)学(字)者〕。
⑥ 有〔読(漢文)学(字)者〕。
⑦ 有〔読(文)学(漢字)者〕。
⑧ 有〔読(漢文)学(漢字)者〕。
といふ「括弧」が表す「語順」に、等しい。
従って、
(一五)により、
(一六)
①〔( )( )〕。
といふ「括弧」は、
① 二 レ 一レ 。
② 下 二 一 上レ 。
③ 三 レ 二 一。
④ 下 二 一 中 上。
⑤ 二 レ レ 一。
⑥ 下 二 一 レ 上。
⑦ 下 レ 二 一 上。
⑧ 下 二 一 二 一 上。
といふ「現行の返り点」に、「対応」する。
然るに、
(一七)
⑧ 読漢‐文=
⑧ 読(漢文)。
とすることが、出来る。
従って、
(一七)により、
(一八)
⑧ 有漢‐文学漢‐字者
といふ「返り点」は、
⑧ 有(漢文)学(漢字)者
とすることが、出来る。
然るに、
(一九)
丸括弧の導入により、一二点・上下点などの各種の返り点は不要となり、レ点のみで用が足りる(松本巌、漢文訓読の返り点に括弧を導入して構造化する試み(Adobe PDF) - htmlで見る)。
従って、
(一九)により、
(二〇)
⑧ 有(漢文)学(漢字)者
は、更に、
⑧ 有(読(漢文)学(漢字)者)。
とすることが、出来る。
然るに、
(二一)
⑧ 有(読(漢文)学(漢字)者)。
といふ「レ点と括弧」は、
⑧ 有レ下レ二漢文レ二漢字
といふ風に、見なすことが、出来る。
然るに、
(二二)
⑧ 読漢文=漢文を読む。
⑧ 読漢文=漢文を読む。
⑧ 読漢文=漢文を読む。
であるため、
⑧ 有漢文漢字
に於ける、
漢文
は、不要である。
従って、
(二一)(二二)により、
(二三)
⑧ 有(読(漢文)学(漢字)者)。
に於ける、
(読(漢文)学
も、不要である。
平成二七年〇三月二二・三日、毛利太。

2015年3月20日金曜日

「返り点」と「括弧」(1.0)。

ブロガー14
このブログは、PC上では「縦書き」で表示され、マウスポインタが、「縦書きの部分」にある時に、マウスのホイールを回すと、左右にスクロールし、「横書きの部分」では、上下にスクロールします。下に見えてゐる、スクロールノブでスクロールする場合は、左右にだけスクロールします。
(〇一)
① 有漢文漢字
① 漢文を読み漢字を学ぶ者り。
(〇二)
① 有漢文漢字
① 有漢文漢字
(〇三)
① 有漢文漢字
① 有〔読(漢文)学(漢字)者〕。
従って、
(〇一)(〇二)(〇三)により、
(〇四)
① 下 二 一 二 一 上。
といふ「返り点」は、
① 〔 ( ) ( ) 〕。
といふ「括弧」に、「置き換へ」ることが出来る。
(〇五)
② 欲 は、
② 下 に等しい。とする。
従って、
(〇五)により、
(〇六)
② 欲漢文漢字
② 下漢一漢上
然るに、
(〇七)
② 下)(上=
② 下〔二(一)(中)上〕。
に於いて、
下〔 〕を、
〔 〕下 に変へ、
二( )を、
( )二 に変へ、
中( )を、
( )中 に変へると、
② 下〔二(一)中(上)〕=
②〔(一)二(上)中〕 下=
〔( 下。
然るに、
(〇八)
② 欲漢文漢字
② 漢文を読み漢字を学ばんと欲す。
従って、
(〇六)(〇七)(〇八)により、
(〇九)
② 下 二 一 中 上。
といふ「返り点」は、
② 〔 ( ) ( )〕
といふ「括弧」で、「置き換へ」ることが出来る。
従って、
(〇四)(〇九)により、
(一〇)
① 下 二 一 二 一 上
② 下 二 一 中 上。
といふ「返り点」は、
① 〔 ( ) ( ) 〕
② 〔 ( ) ( )〕
といふ「括弧」で、「置き換へ」ることが出来る。
然るに、
(一一)
③ 有〔読(書)学(字)者〕=
③ 〔(書を)読み(字を)学ぶ者〕有り。
の「返り点」は、
③ 有書学字者=書を読み字を学ぶ者有り。
である。
(一二)
④ 欲〔読(書)学(字)〕=
④ 〔(書を)読み(字を)学ばんと〕欲す。
の「返り点」は、
④ 欲書学一レ字=書を読み字を学ばんと欲す。
である。
従って、
(一〇)(一一)(一二)により、
(一三)
① 下 二 一 二 一 上
② 下 二 一 中 上。
③ 二 レ レ 一。
④ 二 レ 一レ 。
といふ「返り点」は、
〔( )( )〕
といふ「括弧」で、「置き換へ」ることが出来る。
加へて、
(一四)
⑤ 下 レ 二 一 上。
⑥ 下 二 一 レ 上。
⑦ 三 レ 二 一。
⑧ 下 二 一 上レ 。
といふ「返り点」も、
〔( )( )〕
といふ「括弧」で、「置き換へ」ることが出来る。
従って、
(一三)(一四)により、
(一五)
〔( )( )〕
といふ「括弧」は、
① 下 二 一 二 一 上
⑤ 下 レ 二 一 上。
⑥ 下 二 一 レ 上。
③ 二 レ レ 一。
② 下 二 一 中 上。
⑦ 三 レ 二 一。
⑧ 下 二 一 上レ 。
④ 二 レ 一レ 。
といふ「返り点」に、対応する。
然るに、
(一六)
⑤ 下 レ 二 一 上。
⑥ 下 二 一 レ 上。
③ 二 レ レ 一。
といふ「三通り」は、
① 下 二 一 二 一 上
の「書き換へ」であって、
⑦ 三 レ 二 一。
⑧ 下 二 一 上レ 。
④ 二 レ 一レ 。
といふ「三通り」は、
② 下 二 一 中 上。
の「書き換へ」である。
従って、
(一五)(一六)により、
(一七)
① 〔 ( ) ( ) 〕
といふ「括弧」は、
① 下 二 一 二 一 上
といふ「返り点」と、「その変形」に、対応し、
② 〔 ( ) ( )〕
といふ「括弧」は、
② 下 二 一 中 上
といふ「返り点」と、「その変形」に、対応する。
平成二七年〇三月二〇日、毛利太。

2015年3月14日土曜日

例外(WH移動)。

ブロガー12
(〇一)
① ABである。
としても、
② A以外はBでない。
とは、限らない。
然るに、
(〇二)
① ABである。
ならば、
② A以外はBでない。
然るに、
(〇三)
② A以外はBでない。
といふことは、
② AでないならばBでない。
といふことに、他ならない。
然るに、
(〇四)
② BならばAである。
の「対偶」は、
② AでないならばBでない。
従って、
(〇二)(〇三)(〇四)により、
(〇五)
② A以外はBでない。
といふことは、
② BならばAである。
といふことに、他ならない。
然るに、
(〇六)
① ABである。
であって、尚且つ、
③ AはBでない
といふことは、「矛盾」する。
従って、
(〇六)により、
(〇七)
① ABである。
ならば、
① AはBである。
従って、
(〇一)~(〇七)により、
(〇八)
① ABである。
といふ「言ひ方」は、
① AはBであり、
② BはAである(A以外はBでない)。
といふ「連言」に、等しい。
従って、
(〇九)
① 私社長です。
といふ「言ひ方」は、
① 私は社長であって、
② 社長は私である(私以外は社長ではない)。
といふ「連言」に、等しい。
従って、
(〇九)により、
(一〇)
② 社長は私である(私以外は社長ではない)。
② 社長は鈴木である(鈴木以外は社長ではない)。
といふ「答へ」を期待してゐるのであれば、
① 誰社長ですか。
② 社長は誰ですか。
といふ風に、「質問」すべきであって、
③ 誰社長ですか。
といふ風に、「質問」すべきではない。
然るに、
(一一)
なぜ私達は濁音に迫力を感じるのでしょうか。なぜ清音に爽やかさを感じるのでしょうか。実は、この感覚は人類共通のものなのです。
(Amazon.co.jp: 怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか (新潮新書): 黒川 ...)
従って、
(一一)により、
(一二)
① 誰(濁音) と、
③ 誰(清音) と
を比べるならば、
① 誰(濁音)
の方が、「心理的な音量」が、「大きい」。
然るに、
(一三)
② Only I am the 社長(No one but I am the 社長).
といふことを、「強く主張する」場合は、
I am the 社長.
に於ける、
I
は、「文強勢(Sentence Stress)」を、受ける(?)ものと、思はれる。
従って、
(〇九)~(一三)より、
(一四)
① 誰社長ですか。
といふ「質問」に対して、
③ 誰社長ですか。
といふ「質問」が有り得ないのは、
③ 誰 の方が、
① 誰 よりも、
「心理的な音量」の方が、「小さい」からである。
といふ風に、考へることが、出来る。
然るに、
(一五)
「ある部分」を「強調」する。といふことは、
「その部分」を「目立たせる」ことに、他ならない。
然るに、
(一六)
「その部分」だけを、「通常ではない形」にすれば、
「その部分」は、「目立つ」ことになる。
然るに、
(一七)
④ 吾欺=吾、誰をか欺かん。
⑤ 吾欺=吾、天を欺かん。
に於いて、
④ 吾欺=吾、誰をか欺かん。
は、「漢語としての、通常の語順」ではない。
然るに、
(一八)
 前置による強調
 疑問詞と指示詞の前置
動詞についての目的語は、その動詞の後に置かれるのが、漢語における基本構造としての単語の配列のしかたである。また、漢語における介詞は、ほとんど、動詞から発達したものであって、その目的語も、その介詞の後に置かれるのが、通則であるということができる。しかし、古代漢語においては、それらの目的語が疑問詞である場合には、いずれも、その動詞・介詞の前におかれている。このように、漢語としての通常の語順を変えて、目的語の疑問詞を前置きすることは、疑問文において、その疑問の中心になっている疑問詞を、特に強調したものにちがいない(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、334・5頁)。
従って、
(一〇)~(一八)により、
(一九)
① 私鈴木です。
に対する、
① 誰社長ですか。
に於ける、
① 誰
が、「心理的な音量による、強調形」であるならば、
⑤ 吾欺
に対する、
④ 吾欺。
に於ける、

は、「前置による強調形」である。
然るに、
(二〇)
⑤ I deceive him.
である以上、
⑤ I deceive whom.
であるべきである。
といふことから、
⑤ I deceive him.
に対する、
Whom do I deceive?
等を、「WH移動」といふ。
従って、
(一七)(二〇)により、
(二一)
⑤ 吾欺
に対する、
④ 吾欺。
は、「漢文に於けるWH移動」である。
然るに、
(二二)
よく知られているように、中国語や日本語では wh 句は可視的には移動しない(日本語の wh 疑問文の構造と解釈の問題について ―「演算子」としての ...- Wikipedia)。
疑問詞を前に移動する(wh-移動、ただし中国語は当てはまらない)。 英:What is this?(SVO型 - Wikipedia)。
従って、
(二一)(二二)により、
(二三)
WH移動が有る所の、漢文は、
言語学者が云ふ所の、中国語ではない。
然るに、
(二四)
いづれにせよ、
④ 吾欺=吾、誰をか欺かん。
⑤ 吾欺=吾、天を欺かん。
に於いて、
を は、「補足語」であって、
を も、「補足語」である。
従って、
(二五)
④ 吾欺=吾、誰をか欺かん。
に関しては、「補足語」を含めて、「漢文と訓読」の「語順」が等しく、
⑤ 吾欺=吾、天を欺かん。
に関しては、「補足語」の部分が、「漢文と訓読」の「語順」が逆に、なってゐる。
従って、
(二五)により、
(二六)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。その補足構造における語順は、国語とは全く反対である(鈴木直治著、中国語と漢文、1975年、296頁)。
といふ「言ひ方」は、
⑤ 吾欺=吾、天を欺かん。
のやうな場合には、当てはまるものの、
④ 吾欺=吾、誰をか欺かん。
のやうに、「目的語(補足語)」が、英語でいふ、「WH疑問詞」である場合には、当てはまらない。
従って、
(二六)により、
(二七)
「前置(倒置)」を考慮する限り、「漢文訓読」に於いて、「語順」が「反対」であるならば、その時に限って、「その語順」は、「補足構造」を表してゐる。とは、言へない。
平成二七年〇三月一四日、毛利太。

2015年3月2日月曜日

「訓読」VS「音読」。

ブロガー11
このブログは、PC上では「縦書き」で表示され、マウスポインタが、「縦書きの部分」にある時に、マウスのホイールを回すと、左右にスクロールし、「横書きの部分」では、上下にスクロールします。下に見えてゐる、スクロールノブでスクロールする場合は、左右にだけスクロールします。
(〇一)
① 我不〔常読(漢文)〕。
に於いて、
〔 〕は、「括弧」とし、
( )も、「括弧」とする。
(〇二)
① 我不〔常読(漢文)〕。
に於いて、
① 不 は、「括弧の上」とし、
① 読 も、「括弧の上」とする。
(〇三)
① 我不〔常読(漢文)〕。
に於いて、
「括弧の上」は、「括弧の中」を読んでから読む。
とする。
従って、
(〇一)(〇二)(〇三)により、
(〇四)
① 我不〔常読(漢文)〕。
に於いて、
① 我 は、そのまま読む。
不 は、
我不〔常読(漢文)を読んでから読む。
我不〔常 は、そのまま読む。
我不〔常読 は、
我不〔常読(漢文 を読んでから読む。
従って、
(〇四)により、
(〇五)
① 我不〔常読(漢文)〕。
といふ「漢文」は、
② 我〔常には(漢文を)読ま〕不。
といふ「語順」で、「訓読」される。
然るに、
(〇六)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。その補足構造における語順は、国語とは全く反対である(鈴木直治著、中国語と漢文、1975年、296頁)。
従って、
(〇五)(〇六)により、
(〇七)
① 我不〔常読(漢文)〕=
② 我〔常には(漢文を)読ま〕不。
といふ「漢文訓読」は、
① 我不常読漢文。
といふ「漢文」の、
①〔( )〕
といふ「補足構造」を、反映してゐるし、
② 我、常には漢文を読まず。
といふ「訓読」は、
② 不=ず。 以外は、
① 我 不 常 読 漢 文
といふ「漢字」を、そのまま、使ってゐる。
然るに、
(〇八)
② 私は常には漢文を読まない。
の「中国語訳」は、例へば、
③ 我总是不读中国的经典。
である。
(〇九)
私は、所謂、「中国語」が、全く分からないものの、
③ 我总是不读中国的经典。
には、おそらく、
① 我不〔常読(漢文)〕。
といふ「補足構造」は、無い(?)はずであるし、
少なくとも、
① 我不常読漢文。
の中に、
③ 总是
といふ「漢字」は無い。
従って、
(〇七)(〇八)(〇九)により、
(一〇)
① 我不常読漢文=
① 我不〔常読(漢文)〕=
② 我〔常には(漢文を)読ま〕不。
といふ「漢文訓読」が、可能であるにも拘わらず、敢へて、
③ 我总是不读中国的经典。
のやうな「中国語」を学ばなければ、
① 我不常読漢文。
のやうな「漢文」も理解できない。
といふ主張には、納得がいかない。
(一一)
和習(わしゅう)または和臭(倭臭)とは日本人が漢文を作る時に、日本語の影響によっておかす独特な癖や用法。江戸時代に荻生徂徠によって指摘された(ウィキペディア:和習)。
とのことであるが、
現代中国語に習熟すれば、「和習」ならぬ、「現代中国語習」に染まらないとも、限らない。
(一二)
① 我不常読漢文。
といふ「漢文」の、
① 我不〔常読(漢文)〕。
といふ「補足構造」を把握せずに、
① 我不常読漢文。
といふ「漢文」を理解することは、有り得ない。
(一三)
① 我不常読漢文。
といふ「白文」を、
② 我、常には漢文を読まず。
と「訓読」してゐるにも拘わらず、
① 我不常読漢文。
といふ「白文」の、
① 我不〔常読(漢文)〕。
といふ「補足構造」を把握してゐない。
といふことも、有り得ない。
然るに、
(一四)
① 我不常読漢文。
といふ「漢文」を、例へば、
③ ガフツジョウドクカンブン。
といふ風に、「音読」しても、
① 我不〔常読(漢文)〕。
といふ「補足構造」を把握してゐるとは、限らない。
従って、
(一五)
さすがに、現在においては、「漢文訓読法」でなければ、日本人だけでなく、中国人も中国の古典は理解できない、などという主張をする者はいなくなった。今から考えてみれば「漢文訓読法派」は単に現代中国語ができなかっただけのことではなかったか、そのようにさえ思えてくる(勉誠出版、「訓読」論、2008年、2頁)。
とのことであるが、
① 我不〔常読(漢文)〕。
といふ「補足構造」を把握せずに、
① 我不常読漢文。
といふ「漢文」を理解することは、有り得ないが、
そのためには、
② 我、常には漢文を読まず。
といふ「訓読」こそが、最も、「有効」である。
といふ、ことであれば、
「漢文訓読法」でなければ、日本人だけでなく、中国人も中国の古典は理解できない。
といふ風に、言ひたくなる気持ちも、分らないではない。
平成二七年〇三月〇二日、毛利太。