2015年3月22日日曜日

「返り点」と「括弧」(1.5)。

ブロガー13.5
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(〇一)
 以前はレ点の原則がゆるやかでした。特に付帯事項2は意識されないことも多く、たとえば「登竜門」を「竜門に登る」と訓読する場合、次のような返り点を打つこともあったのです。
白白白白白白白si りゅうもんsのぼ
【誤】登竜‐門=竜門に登る。
「竜門」の二字をハ イ フ ン
「竜門」の二字を連続符号でつなぎ、レ点で「登」に返していますが。これは現行の返り点では認められません。
(古田島洋介、これならわかる返り点、2009年、五八頁)
従って、
(〇一)により、
(〇二)
【正】登竜‐門=竜門に登る。
といふ「返り点」を認める限り、
① 欲文学一レ字。
② 欲漢‐文学一レ字。
③ 欲文学一レ漢‐字。
④ 欲漢‐文学一レ漢‐字。
⑤ 有文学字者
⑥ 有漢‐文学字者
⑦ 有文学漢‐字者
⑧ 有漢‐文学漢‐字者
といふ「返り点」は、
文を読み字を学ばんと欲す。
② 漢文を読み字を学ばんと欲す。
文を読み漢字を学ばんと欲す。
④ 漢文を読み漢字を学ばんと欲す。
文を読み字を学ぶ者有り。
⑥ 漢文を読み字を学ぶ者有り。
文を読み漢字を学ぶ者有り。
⑧ 漢文を読み漢字を学ぶ者有り。
といふ風に、「訓読」出来る。
(〇三)
1 連続した二字を転倒させる場合は、必ずレ点を用い、他の返り点を用いてはならない。
といふ「ルール」が無ければ、
① 欲
② 欲漢文
③ 欲漢字
④ 欲漢文漢字
⑤ 有
⑥ 有漢文
⑦ 有漢字
⑧ 有漢文漢字
といふ「返り点」は、
文を読み字を学ばんと欲す。
② 漢文を読み字を学ばんと欲す。
文を読み漢字を学ばんと欲す。
④ 漢文を読み漢字を学ばんと欲す。
文を読み字を学ぶ者有り。
⑥ 漢文を読み字を学ぶ者有り。
文を読み漢字を学ぶ者有り。
⑧ 漢文を読み漢字を学ぶ者有り。
といふ風に、「訓読」出来る。
然るに、
(〇四)
レ点 連続した二字の上下を転倒させる。
 付帯事項
1 連続した二字を転倒させる場合は、必ずレ点を用い、他の返り点を用いてはならない。
2 連続した二字の上下を転倒させる以外の場合に、レ点を用いてはならない。
(古田島洋介、これならわかる返り点、2009年、五七・五八頁)
従って、
(〇四)により、
(〇五)
「(学校で習ふ)現行の返り点」としては、
① 欲一レ字。
② 欲漢文上レ
③ 欲漢字
④ 欲漢文漢字
⑤ 有
⑥ 有漢文
⑦ 有漢字
⑧ 有漢文漢字
だけが、「正しい」。
従って、
(〇一)~(〇五)により、
(〇六)
2 連続した二字の上下を転倒させる以外の場合に、レ点を用いてはならない。
が故に、
② 二 レ ‐ 一レ 。
③ 二 レ 一レ ‐ 。
④ 二 レ ‐ 一レ ‐ 。
⑥ 二 レ ‐ レ 一。
⑦ 二 レ レ ‐ 一。
⑧ 二 レ ‐ レ ‐ 一。
といふ「返り点」は、「マチガイ」であって、
1 連続した二字を転倒させる場合は、必ずレ点を用い、他の返り点を用いてはならない。
が故に、
② 下 二 一 中 上。
③ 下 二 一 中 上。
④ 下 二 一 中 上。
⑥ 下 二 一 二 一 上。
⑦ 下 二 一 二 一 上。
⑧ 下 二 一 二 一 上。
といふ「返り点」は、「マチガイ」であって、
1 連続した二字を転倒させる場合は、必ずレ点を用い、他の返り点を用いてはならない。
2 連続した二字の上下を転倒させる以外の場合に、レ点を用いてはならない。
が故に、
① 二 レ 一レ 。
② 下 二 一 上レ 。
③ 三 レ 二 一。
④ 下 二 一 中 上。
⑤ 二 レ レ 一。
⑥ 下 二 一 レ 上。
⑦ 下 レ 二 一 上。
⑧ 下 二 一 二 一 上。
といふ「返り点」は、「正しい」。
従って、
(〇六)により、
(〇七)
1 連続した二字を転倒させる場合は、必ずレ点を用い、他の返り点を用いてはならない。
2 連続した二字の上下を転倒させる以外の場合に、レ点を用いてはならない。
といふ「ルール」が、無ければ、
① 二 レ 一レ 。
② 二 レ ‐ 一レ 。
③ 二 レ 一レ ‐ 。
④ 二 レ ‐ 一レ ‐ 。
⑤ 二 レ レ 一。
⑥ 二 レ ‐ レ 一。
⑦ 二 レ レ ‐ 一。
⑧ 二 レ ‐ レ ‐ 一。
① 下 二 一 中 上。
② 下 二 一 中 上。
③ 下 二 一 中 上。
④ 下 二 一 中 上。
⑥ 下 二 一 二 一 上。
⑦ 下 二 一 二 一 上。
⑧ 下 二 一 二 一 上。
① 二 レ 一レ 。
② 下 二 一 上レ 。
③ 三 レ 二 一。
④ 下 二 一 中 上。
⑤ 二 レ レ 一。
⑥ 下 二 一 レ 上。
⑦ 下 レ 二 一 上。
⑧ 下 二 一 二 一 上。
といふ「二四通りの、返り点」は、「正しい」。
然るに、
(〇八)
⑤ 有
⑥ 有漢文
⑦ 有漢字
⑧ 有漢文漢字
といふ「括弧」は、
⑤ 有
⑥ 有漢文
⑦ 有漢字
⑧ 有漢文漢字
といふ「返り点」に、相当する。
然るに、
(〇九)
① 欲
① 下
とすることが、出来る。
従って、
(一〇)
① 下
① 欲
① 文を読み字を学ばんと欲す。
然るに、
(一一)
① 下)(上=
① 下〔二(一)(中)上〕。
に於いて、
下〔 〕を、
〔 〕下 に変へ、
二(一)を、
(一)二 に変へ、
中(上)を、
(上)中 に変へると、
① 下〔二(一)中(上)〕=
①〔(一)二(上)中〕 下=
〔( 下。
従って、
(一〇)(一一)により、
(一二)
① 欲
① 文を読み字を学ばんと欲す。
といふ「返り点」は、
① 欲〔読(文)学(字)〕=
① 〔(文を)読み(字を)学ばんと〕欲す。
といふ「括弧」に、相当する。
従って、
(一二)により、
(一三)
① 欲
② 欲漢文
③ 欲漢字
④ 欲漢文漢字
といふ「返り点」は、
① 欲〔読(文)学(字)〕=
① 〔(文を)読み(字を)学ばんと〕欲す。
② 欲〔読(漢文)学(字)〕=
② 〔(漢文を)読み(字を)学ばんと〕欲す。
③ 欲〔読(文)学(漢字)〕=
③ 〔(文を)読み(漢字を)学ばんと〕欲す。
④ 欲〔読(漢文)学(漢字)〕=
④ 〔(漢文を)読み(漢字を)学ばんと〕欲す。
といふ「括弧」に、相当する。
従って、
(〇八)(一三)により、
(一四)
① 欲
② 欲漢文
③ 欲漢字
④ 欲漢文漢字
⑤ 有
⑥ 有漢文
⑦ 有漢字
⑧ 有漢文漢字
といふ「返り点」は、
① 欲〔読(文)学(字)〕。
② 欲〔読(漢文)学(字)〕。
③ 欲〔読(文)学(漢字)〕。
④ 欲〔読(漢文)学(漢字)〕。
⑤ 有〔読(文)学(字)者〕。
⑥ 有〔読(漢文)学(字)者〕。
⑦ 有〔読(文)学(漢字)者〕。
⑧ 有〔読(漢文)学(漢字)者〕。
といふ「括弧」に、「置き換へ」ることが、出来る。
従って、
(〇五)(一四)により、
(一五)
① 欲一レ字。
② 欲漢文上レ
③ 欲漢字
④ 欲漢文漢字
⑤ 有
⑥ 有漢文
⑦ 有漢字
⑧ 有漢文漢字
といふ「(学校で習ふ)返り点」が表す「語順」は、
① 欲〔読(文)学(字)〕。
② 欲〔読(漢文)学(字)〕。
③ 欲〔読(文)学(漢字)〕。
④ 欲〔読(漢文)学(漢字)〕。
⑤ 有〔読(文)学(字)者〕。
⑥ 有〔読(漢文)学(字)者〕。
⑦ 有〔読(文)学(漢字)者〕。
⑧ 有〔読(漢文)学(漢字)者〕。
といふ「括弧」が表す「語順」に、等しい。
従って、
(一五)により、
(一六)
①〔( )( )〕。
といふ「括弧」は、
① 二 レ 一レ 。
② 下 二 一 上レ 。
③ 三 レ 二 一。
④ 下 二 一 中 上。
⑤ 二 レ レ 一。
⑥ 下 二 一 レ 上。
⑦ 下 レ 二 一 上。
⑧ 下 二 一 二 一 上。
といふ「現行の返り点」に、「対応」する。
然るに、
(一七)
⑧ 読漢‐文=
⑧ 読(漢文)。
とすることが、出来る。
従って、
(一七)により、
(一八)
⑧ 有漢‐文学漢‐字者
といふ「返り点」は、
⑧ 有(漢文)学(漢字)者
とすることが、出来る。
然るに、
(一九)
丸括弧の導入により、一二点・上下点などの各種の返り点は不要となり、レ点のみで用が足りる(松本巌、漢文訓読の返り点に括弧を導入して構造化する試み(Adobe PDF) - htmlで見る)。
従って、
(一九)により、
(二〇)
⑧ 有(漢文)学(漢字)者
は、更に、
⑧ 有(読(漢文)学(漢字)者)。
とすることが、出来る。
然るに、
(二一)
⑧ 有(読(漢文)学(漢字)者)。
といふ「レ点と括弧」は、
⑧ 有レ下レ二漢文レ二漢字
といふ風に、見なすことが、出来る。
然るに、
(二二)
⑧ 読漢文=漢文を読む。
⑧ 読漢文=漢文を読む。
⑧ 読漢文=漢文を読む。
であるため、
⑧ 有漢文漢字
に於ける、
漢文
は、不要である。
従って、
(二一)(二二)により、
(二三)
⑧ 有(読(漢文)学(漢字)者)。
に於ける、
(読(漢文)学
も、不要である。
平成二七年〇三月二二・三日、毛利太。

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