2015年3月25日水曜日

「返り点」と「括弧」(2.5)。

ブロガー15
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(〇一)
① 欲一レ字。
② 欲漢文上レ
③ 欲漢字
④ 欲漢文漢字
⑤ 有
⑥ 有漢文
⑦ 有漢字
⑧ 有漢文漢字
に対する「書き下し文」は、
文を読み字を学ばんと欲す。
② 漢文を読み字を学ばんと欲す。
文を読み漢字を学ばんと欲す。
④ 漢文を読み漢字を学ばんと欲す。
文を読み字を学ぶ者有り。
⑥ 漢文を読み字を学ぶ者有り。
文を読み漢字を学ぶ者有り。
⑧ 漢文を読み漢字を学ぶ者有り。
であって、これらは、全て、
1 連続した二字を転倒させる場合は、必ずレ点を用い、他の返り点を用いてはならない。
2 連続した二字の上下を転倒させる以外の場合に、レ点を用いてはならない。
(古田島洋介、これならわかる返り点、2009年、五七・五八頁)
といふ「ルール」を、満たしてゐる。
然るに、
(〇二)
1 連続した二字を転倒させる場合は、必ずレ点を用い、他の返り点を用いてはならない。
といふ「ルール」が無ければ、
① 欲
② 欲漢文
③ 欲漢字
④ 欲漢文漢字
⑤ 有
⑥ 有漢文
⑦ 有漢字
⑧ 有漢文漢字
といふ「返り点」は、「正しい」。
然るに、
(〇三)
⑤ 有
⑥ 有漢文
⑦ 有漢字
⑧ 有漢文漢字
に対する、
⑤ 有
⑥ 有漢文
⑦ 有漢字
⑧ 有漢文漢字
に於いて、

漢文
字字
漢文漢字
といふ「返り点」は、

漢文
漢字
漢文漢字
といふ「返り点」に等しい。
従って、
(〇三)により、
(〇四)
⑤ 有
⑥ 有漢文
⑦ 有漢字
⑧ 有漢文漢字
といふ「返り点」は、
⑤ 有〔読(文)学(字)者〕。
⑥ 有〔読(漢文)学(字)者〕。
⑦ 有〔読(文)学(漢字)者〕。
⑧ 有〔読(漢文)学(漢字)者〕。
といふ「括弧」に等しい。
(〇五)
① 欲
② 欲漢文
③ 欲漢字
④ 欲漢文漢字
に関しては、
① 下
② 下漢一
③ 下漢上
④ 下漢一漢上
といふ風に、「書き換へ」る。
然るに、
(〇六)
① 下)(上=
① 下〔二(一)(中)上〕。
に於いて、
下〔〕を、
〔 〕下 に変へ、
二(一)を、
(一)二 に変へ、
中(上)を、
(上)中 に変へると、
① 下〔二(一)中(上)〕=
①〔(一)二(上)中〕 下=
〔( 下。
従って、
(〇五)(〇六)により、
(〇七)
① 欲
① 文を読み字を学ばんと欲す。
といふ「返り点」は、
① 欲〔読(文)学(字)〕=
① 〔(文を)読み(字を)学ばんと〕欲す。
といふ「括弧」に、相当する。
従って、
(〇七)により、
(〇八)
④ 欲漢文漢字
④ 漢文を読み漢字を学ばんと欲す。
といふ「返り点」は、
④ 欲〔読(漢文)学(漢字)〕=
④ 〔(漢文を)読み(漢字を)学ばんと〕欲す。
といふ「括弧」に、相当する。
従って、
(〇五)~(〇八)により、
(〇九)
① 欲
② 欲漢文
③ 欲漢字
④ 欲漢文漢字
といふ「返り点」は、
① 欲〔読(文)学(字)〕。
② 欲〔読(漢文)学(字)〕。
③ 欲〔読(文)学(漢字)〕。
④ 欲〔読(漢文)学(漢字)〕。
といふ「括弧」に等しい。
従って、
(〇四)(〇九)により、
(一〇)
① 欲
② 欲漢文
③ 欲漢字
④ 欲漢文漢字
⑤ 有
⑥ 有漢文
⑦ 有漢字
⑧ 有漢文漢字
といふ「(レ点の無い)返り点」は、
① 欲〔読(文)学(字)〕。
② 欲〔読(漢文)学(字)〕。
③ 欲〔読(文)学(漢字)〕。
④ 欲〔読(漢文)学(漢字)〕。
⑤ 有〔読(文)学(字)者〕。
⑥ 有〔読(漢文)学(字)者〕。
⑦ 有〔読(文)学(漢字)者〕。
⑧ 有〔読(漢文)学(漢字)者〕。
といふ「括弧」に、等しい。
従って、
(〇一)(〇二)(一〇)により、
(一一)
① 欲一レ字。
② 欲漢文上レ
③ 欲漢字
④ 欲漢文漢字
⑤ 有
⑥ 有漢文
⑦ 有漢字
⑧ 有漢文漢字
といふ「(レ点が有る)現行の返り点」は、
① 欲〔読(文)学(字)〕。
② 欲〔読(漢文)学(字)〕。
③ 欲〔読(文)学(漢字)〕。
④ 欲〔読(漢文)学(漢字)〕。
⑤ 有〔読(文)学(字)者〕。
⑥ 有〔読(漢文)学(字)者〕。
⑦ 有〔読(文)学(漢字)者〕。
⑧ 有〔読(漢文)学(漢字)者〕。
といふ「括弧」に、等しい。
然るに、
(一二)
丸括弧の導入により、一二点・上下点などの各種の返り点は不要となり、レ点のみで用が足りる(松本巌、漢文訓読の返り点に括弧を導入して構造化する試み(Adobe PDF) - htmlで見 る)。
従って、
(一一)(一二)により、
(一三)
⑧ 有漢文漢字
⑧ 有〔読(漢文)学(漢字)者〕=
⑧ 有(読(漢文)学(漢字)者)。
といふ「返り点・括弧」は、
⑧ 有(読(漢文)学(漢字)者)。
に等しい。
然るに、
(一四)
⑧ 有〔読(漢文)学(漢字)者〕=
⑧ 有(読(漢文)学(漢字)者)=
⑧ 有(読(漢文)学(漢字)者)。
である以上、
⑧ 有(読(漢文)学(漢字)者)。
に於いて、
(読(漢文)学
は「不要」である。
然るに、
(一五)
⑧ 有漢文漢字
⑧ 有漢文漢字
に於ける、
漢文
は、不要である。
従って、
(一三)(一四)(一五)により、
(一六)
⑧ 有漢文漢字
⑧ 有(読(漢文)学(漢字)者)。
に於いて、
漢文
(読(漢文)学
は「不要」である。
(一七)
⑨ 使(籍誠不(以(畜(妻子)憂(飢寒))乱心)有(財銭)以済(医薬))。
に於いて、
⑨ 乱(心)
ではなく、
⑨ 乱
である。
然るに、
(一八)
丸括弧内の文字列は、丸括弧外の文字列との関係において一文字として扱う(松本巌、漢文訓読の返り点に括弧を導入して構造化する試み(Adobe PDF) - htmlで見る)。
従って、
(一七)(一八)により、
(一九)
⑨ 乱心。
といふ「レ点」は、
⑩ 乱(心)
といふ「レ点と丸括弧」に等しい。
従って、
(一七)(一九)により、
(二〇)
⑨ 使(籍誠不(以(畜(妻子)憂(飢寒))乱心)有(財銭)以済(医薬))。
といふ「レ点と丸括弧」は、
⑩ 使(籍誠不(以(畜(妻子)憂(飢寒))乱(心))有(財銭)以済(医薬))。
といふ「レ点と丸括弧」に等しい。
然るに、
(二一)
⑩ 使(籍誠不(以(畜(妻子)憂(飢寒))乱(心))有(財銭)以済(医薬))。
から、
使(籍誠不(以(畜(妻子)憂(飢寒))乱(心))有(財銭)以済(医薬))。
を除くと、
⑩ 使(籍誠不(以(畜(妻子)憂(飢寒))乱(心))有(財銭)以済(医薬))。
(二二)
⑩ 使(籍誠不(以(畜(妻子)憂(飢寒))乱(心))有(財銭)以済(医薬))。
では、「読みにくい」ため、
( )
〔 〕
[ ]
{ }
を用ゐて、
⑩ 使{籍誠不[以〔畜(妻子)憂(飢寒)〕乱(心)]有(財銭)以済(医薬)}。
とする。
然るに、
(二三)
「漢字」
「漢字「返り点」
「漢字「返り点」を「逆」にすると、
⑩ 使籍誠不妻子飢寒財銭以済医薬
⑩ 人使籍誠丙妻一飢一財一以地医天
然るに、
(二四)
⑩ 人{丙[下〔二(一)二(一)上〕乙(甲)]二(一)地(天)}⇒
⑩ {[〔(一)二(一)二上〕下(甲)乙]丙(一)二(天)地}人。
従って、
(二一)(二二)(二三)により、
(二五)
⑩ 使{籍誠不[以〔畜(妻子)憂(飢寒)〕乱(心)]有(財銭)以済(医薬)}=
⑩ {籍をして誠に[〔(妻子を)畜ひ(飢寒を)憂ふるを〕以て(心を)乱さ]不(財銭)有りて以て(医薬を)済さ}使む。
といふ「括弧」は、
⑩ 使籍誠不妻子飢寒財銭以済医薬
⑩ 籍をして誠に妻子を畜ひ飢寒ふるをて心を乱さ不財銭りて以て医薬を済使む。
といふ「返り点」に、等しい。
従って、
(一七)~(二五)により、
(二六)
⑨ 使(籍誠不(以(畜(妻子)憂(飢寒))乱心)有(財銭)以済(医薬))。
といふ「レ点と丸括弧」は、
⑩ 使(籍誠不(以(畜(妻子)憂(飢寒))乱(心))有(財銭)以済(医薬))=
⑩ 使{籍誠不[以〔畜(妻子)憂(飢寒)〕乱(心)]有(財銭)以済(医薬)}。
といふ「括弧」に、等しい。
従って、
(二六)により、
(二七)
⑨ 使(籍誠不(以(畜(妻子)憂(飢寒))乱心)有(財銭)以済(医薬))。
に於ける、
使(籍誠不(以(畜(妻子)憂(飢寒))乱心)有(財銭)以済(医薬))。
は、不要である。
(二八)
⑪ 読漢文
⑪ 漢文を 読む。
に於いて、
二 一=( )
とすれば、
⑪ 読漢文
⑪ 読漢文
⑪ 読(漢文)。
といふ「等式」が、成立する。
(二九)
⑫ 読文=
⑫ 読
⑫ 文を 読む。
に於いて、
二 =二 一
二 一=( )
とすれば、
⑫ 読文=
⑫ 読
⑫ 読
⑫ 読(文)。
といふ「等式」が、成立する。
従って、
(二八)(二九)により、
(三〇)
⑫ 読文。
⑬ 読(漢文)。
といふ「レ点と丸括弧」は、
⑫ 読(文)。
⑪ 読(漢文)。
といふ「括弧」に、等しい。
従って、
(一二)~(三〇)により、
(三一)
丸括弧の導入により、一二点・上下点などの各種の返り点は不要となり、レ点のみで用が足りる。と同時に、レ点自体が、不要となる。
(三二)
⑬ 不〔読(文)〕。
⑭ 不〔読(漢文)〕。
であれば、
⑬〔( )〕
⑭〔( )〕
は、「等しい」。
従って、
(三二)により、
(三三)
⑬〔( )〕
⑭〔( )〕
が「構造(structure)」であるならば、
⑬ 不読文=文を読まず。
⑭ 不読漢文=漢文を読まず。
に於ける「構造(structure)」は「等しい」。
然るに、
(三四)
⑬ 不文。
⑭ 不(漢文)。
に於いて、

漢文
は、「等しく」はない。
従って、
(三四)により、
(三五)

漢文
といふ「二通り」が、「構造(structure)」であるならば、
⑬ 不読文=文を読まず。
⑭ 不読漢文=漢文を読まず。
に於ける「構造(structure)」は「等しく」ない。
従って、
(三五)により、
(三六)
⑬ 不読文=文を読まず。
⑭ 不読漢文=漢文を読まず。
に於ける「構造(structure)」が「等しい」のであれば、

漢文
は、「構造(structure)」ではない。
平成二七年〇三月二五日、毛利太。

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