2015年2月28日土曜日

「括弧(補足構造)」はあります!

ブロガー十
このブログは、PC上では「縦書き」で表示され、マウスポインタが、「縦書きの部分」にある時に、マウスのホイールを回すと、左右にスクロールし、「横書きの部分」では、上下にスクロールします。下に見えてゐる、スクロールノブでスクロールする場合は、左右にだけスクロールします。
(〇一)
ABC。
に於いて、
A is above C.
oveB is on C.
とする。
(〇二)
B is on C.
である時、
B=Cの上。
とする。
従って、
(〇二)により、
(〇三)
我読書。
に於いて、
読=書の上。
とする。
従って、
(〇三)により、
(〇四)
我読(書)。
に於いて、
読=(書)の上。
とする。
(〇五)
我読(書)
に於いて、
我読(書=( )の中。
とする。
(〇六)
① 我読(書)者也。
に於いて、
( )の上だけは、
( )の中を、読んだ後で、読む。
とする。
従って、
(〇六)により、
(〇七)
① 我読(書)者也=
① 我は(書を)読む者なり。
である。
(〇八)
( )
に加へて、
〔 〕
[ ]
{ }
 等を、「括弧」とし、
「括弧」の上だけは、
「括弧」の中を、読んだ後で、読む。
とする。
従って、
(〇一)~(〇八)により、
(〇九)
② 我非{常求[以〔解(中国語)法〕解(漢文)]者}也=
② 我は{常に[〔(中国語を)解する法を〕以て(漢文を)解せんことを]求むる者に}非ざるなり。
然るに、
(一〇)
① 我読書=
① 我、書を読む。
② 我非常求中国語漢文也=
② 我は常に中国語を解する方て漢文を解せんことを求る者に非ざるなり。
従って、
(〇九)(一〇)により、
(一一)
① レ
② 地 丙 下 二 一 上 乙 甲 天
といふ「返り点」に従って、
① 我読書。
② 我非常求中国語漢文也。
といふ「漢文」を読むことは、
①( )
②{[〔( )〕]( )}
といふ「括弧」に従って、
① 我読(書)者。
② 我非{常求[以〔解(中国語)法〕解(漢文)]者}也。
といふ「漢文」を読むことに、等しい。
然るに、
(一二)
(一)主述関係 主語―述語
(二)修飾関係 修飾語―被修飾語
(三)補足関係 叙述語―補足語
(四)並列関係 並列語―並列語
右の四つの文法関係は、漢語文法の基礎となっていることである(鈴木直治著、中国語と漢文、1975年、281~3頁、抜粋)。
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。その補足構造における語順は、国語とは全く反対である(鈴木直治著、中国語と漢文、1975年、296頁)。
従って、
(一二)により、
(一三)
s四つの中にあって、
(三)補足構造 叙述語―補足語
に於ける語順だけが、国語とは反対である。
従って、
(一三)により、
(一四)
「漢文訓読」に於いて、「語順」が「反対」であるならば、
その時に限って、その「語順」 は、
(三)補足構造 叙述語―補足語
を、表してゐる。
従って、
(一一)(一四)により、
(一五)
① 我読書=
① 我書を読む。
② 我非常求以解中国語法解漢文者也=
② 我は常に中国語を解する法を以て漢文を解せんことを求むる者に非ざるなり。
といふ「漢文訓読」は、
① 我読(書)。
① 我(書)読。
② 我非{常求[以〔解(中国語)法〕解(漢文)]者}也。
② 我{常[〔(中国語)解法〕以(漢文)解]求者}非也。
といふ、
(三)補足構造 叙述語―補足語
を、表してゐる。
従って、
(一五)により、
(一六)
例へば、
① 我読書。
② 我非常求以解中国語法解漢文者也。
といふ「漢文」に、「括弧(補足構造)」は、有ります!
平成二七年〇二月二八日、毛利太。

2015年2月26日木曜日

「返り点」の基本(1)。

ブロガー九(二 三 は無い)
このブログは、PC上では「縦書き」で表示され、マウスポインタが、「縦書きの部分」にある時に、マウスのホイールを回すと、左右にスクロールし、「横書きの部分」では、上下にスクロールします。下に見えてゐる、スクロールノブでスクロールする場合は、左右にだけスクロールします。
(〇一)
① 読漢文
① 漢文を読む。
(〇二)
② 学漢字
② 漢字を学ぶ。
従って、
(〇三)
①+②=
③ 読漢文漢字
③ 漢文を読み、漢字を学ぶ。
(〇四)
④ 有漢文
④ 漢文を学ぶ者り。
(〇五)
⑤ 欲漢文漢字
⑤ 漢文を読み、漢字を学ばんと欲す。
(〇六)
⑥ 不常聞鳥啼梅樹
⑥ 常には鳥の梅樹に啼く声を聞か不
従って、
(〇三)~(〇六)により、
(〇七)
③ 二 一 二 一。
④ 下 二 一 上。
⑤ 下 二 一 中 上。
⑥ 下 中 二 一 上。
であって、
③ 二 一 四 三。
④ 四 二 一 三。
⑤ 五 二 一 四 三。
⑥ 五 四 二 一 三。
ではない。
従って、
(〇七)により、
(〇八)
③ 二 一 二 一。
 二 一
 二 一
下 中 二 一
に対して、
③ 二 一 四 三。
 二  三。
 二 一 四 三。
五 四 二  三。
は「不可」である。
従って、
(〇八)により、
(〇九)
二 の下には、一 が、無ければならず、
二 の下には、三 が、有っては、ならない。
は、「定理」である。
(一〇)
「定理(〇九)」が成り立つ所以は、
① 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
② 上 中 下
に於いて、
① を挟んで返るならば、その時に限って、
② を用ゐる。
といふ「ルール」が有るからであるが、
② 上 中 下
③ 甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
に於いて、
② を挟んで返るならば、その時に限って、
③ を用ゐ、
③ 甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
④ 天 地 人
に於いて、
③ を挟んで返るならば、その時に限って、
④ を用ゐる。
といふのも、「ルール」である。
然るに、
(一一)
① 学漢文
① 漢文を学ぶ。
⑦ 有文者
⑦ 文を学ぶ者有り。
⑧ 不文者
⑧ 文を学ぶ者有ら不。
⑨ 無人知一レ去=
⑨ 人の去る所を知る無し。
加へて、
(一二)
レ下・・レ・・上レ 。
レ乙・・レ・・甲レ 。
レ地・・レ・・天レ 。
等も、「不可」ではない。
従って、
(一一)(一二)により、
(一三)
① レ
② 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
に於いて、
① を挟んで返るならば、その時に限って、
② を用ゐる。
といふ「ルール」は、無い。
従って、
(一〇)~(一三)により、
(一四)
教科書等に於いて、
① レ
② 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
③ 上 中 下
④ 甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
⑤ 天 地 人
といふ「順番」で、説明されるからと言って、
① レ
② 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
③ 上 中 下
④ 甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
⑤ 天 地 人
といふ「順番」で、用ゐられるワケではないが、
② 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
③ 上 中 下
④ 甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
⑤ 天 地 人
といふ「順番」に関して、
この通りの「順番」で、用ゐられる。
すなはち、
(一〇)により、
(一五)
⑤ 天地点 が用ゐられる際には、その前に、
④ 甲乙点 が用ゐられてゐる必要があり、
④ 甲乙点 が用ゐられる際には、その前に
③ 上下点 が用ゐられてゐる必要があり、
③ 上下点 が用ゐられる際には、その前に、
② 一二点 が用ゐられている必要がある。
平成二七年〇二月二六日、毛利太。

2015年2月25日水曜日

「レ点」について。

ブロガー八
このブログは、PC上では「縦書き」で表示され、マウスポインタが、「縦書き」の部分にある時に、マウスのホイールを回すと、左右にスクロールし、「横書き」の部分では、上下にスクロールします。下に見えてゐる、スクロールノブでスクロールする場合は、左右にだけスクロールします。
(〇一)
例へば、
① 知我不小節而恥功名不上レ于天下也。
といふ「返り点」は、「参考書」に載ってゐるが、
① 知我不小節而恥功名不于天下也。
といふ「返り点」は、「参考書」に載ってゐない。
然るに、
(〇二)
① 知我不小節而恥功名不上レ于天下也=
① 知我不小節而恥功名不于天下也=
① 知我不小節而恥功名不于天下也=
① 我の小節を羞ぢ不して功名の天下に顕れ不るを恥ずるを知ればなり。
とすれば、
① 知我不小節而恥功名不上レ于天下也=
① 我の小節を羞ぢ不して、功名の天下に顕れ不るを恥づるを知ればなり。
といふ「返り点」を、「説明」した。ことになる。
従って、
(〇一)(〇二)により、
(〇三)
① 知我不小節而恥功名不于天下也=
① 知我不小節而恥功名不于天下也=
① 我の小節を羞ぢ不して功名の天下に顕れ不るを恥ずるを知ればなり。
といふ「返り点」は、「現行の返り点」としては、「マチガイ」であるが、
① 知我不小節而恥功名不上レ于天下也。
といふ「返り点」を「説明」する上で、
① 知我不小節而恥功名不于天下也=
① 知我不小節而恥功名不于天下也。
といふ「返り点」は、「有効」である。
それ故、
(〇四)
① 知我不小節而恥功名不上レ于天下也=
① 知我不小節而恥功名不于天下也=
① 知我不小節而恥功名不于天下也。
といふ「形」による「説明」を、「一二点による説明」とする。
(〇五)
「一二点による説明」に対して、
 には、下点 があるため、
知 は、読まない。
我 は そのまま、読む。
 には、レ点 があるため、
羞 を、読もうとすると、
 には、二点 があるため、
羞 は 読まない。
小 は、そのまま、読む。
節 を、読もうとすると、
 には、一点 があるため、
節 を読み、
 から、
 に返って、
羞 を読み、
羞 の上の、レ点 により、
不 を読む。
而 は、「置き字」であるため、読まない。
 には、中点 があるため、
恥 は、読まない。
功 は、そのまま、読む。
名 は、そのまま、読む。
上レ には、レ点 があるため、
顕 を、読もうとすると、
 には、二点 があるため、
顕 は 読まない。
于 は、「置き字」であるため、読まない。
天 は、そのまま、読む。
 には、一点 があるため、 下 を、読んでから、
 を読み、
顕 の上の、レ点 により、
 に返って、
不 を、読み、
 から、
 に返って、
恥 を、読み、
 から、
 に返って、
知 を、読む。
といふ「説明」を、「逐次的説明」とする。
従って、
(〇四)(〇五)により、
(〇六)
「一二点による説明」は、「簡単」であるが、
「逐次的説明」は、る説明「簡単」ではない。
然るに、
(〇七)
① 知我不小節而恥功名不上レ于天下也=
① 我の小節を羞ぢ不して、功名の天下に顕れ不るを恥づるを知ればなり。
に対して、
② 知我不必羞小節而恥功名不常顕于天下也=
② 我の必ずしも小節を羞ぢ不して、功名の常には天下に顕れ不るを恥づるを知ればなり。
は、「現行の返り点」として、「正しい」。
従って、
(〇八)
① 知我不小節而恥功名不上レ于天下也。
であっても、
② 知我不必羞小節而恥功名不常顕于天下也。
と同様に、
① 知我不小節而恥功名不于天下也。
であっても良いやうに、思へるものの、既に、述べた通り、
① 知我不小節而恥功名不于天下也。
に於ける、
① 戊 三 二 一 丁 丙 乙 甲。
といふ「返り点」は、「参考書(1973年)」には、載ってゐない。
(〇九)
「金文京、漢字と東アジア、2010年、52頁」を読む限り、
レ点 は、本来は、「上の一字」と、「下の一字」を、逆にして読む際の、記号であったやうである。
従って、
(〇九)により、
(一〇)
「本来の、レ点の用法」からすれば、
③ 不漢文
③ 読漢文
③ 読 漢文
といふ、ことになる。
従って、
(一〇)により、
(一一)
③ 不漢文
③ 漢文を読まず。
といふ「読み方」は、
レ点 の、「本来の使い方」ではない。
然るに、
(一二)
③ 不漢文
であれば、
誰であっても、
③ 不漢文
③ 漢文を読ま不
といふ「順番」で、読むことになる。
従って、
(一一)(一二)により、
(一三)
③ 不漢文
③ 漢文を読ま不
と読まれるやうに、なった時点で、
③ レ は、
③ 三 の「略号」に変はった。
といふ風に、見なすことが、出来る。
従って、
(一四)
④ 不漢文
④ 漢文を読ま不る可から不
であれば、
④ レ レ レ は、
④ 五 四 三 の「略号」である。
といふ風に、見なすことが、出来る。
然るに、
(一五)
さうであれば、
④ 不漢文
④ 不漢文
④ 漢文を読ま不る可から不
とする所の、「一二点による説明」に、「支障」は無い。
然るに、
(一六)
④ 不漢文
④ 不漢文
である以上、
④ 不
④ 不
に於ける、
④ レ レ レ と、
④ 五 四 三 は、
「同じ位置」に、無ければ、ならない。
然るに、
(一七)
レ点は下の字に属して左肩につけ、その他の一二点などは字の左下につける(原田種成、私の漢文講義、1995年、41頁)。
従って、
(一六)(一七)により、
(一八)
原田先生の説に、従ふ限り、
④ レ レ レ は、
④ 五 四 三 の「略号」ではない。
従って、
(一八)により、
④ 不漢文
④ 不漢文
④ 漢文を読ま不る可から不
とする所の、「一二点による説明」は、普通は、行はれることが、無い。
然るに、
(一九)
「結果」として、
④ 不漢文
④ 不漢文
④ 漢文を読ま不る可から不
① 知我不小節而恥功名不上レ于天下也=
① 知我不小節而恥功名不于天下也=
① 知我不小節而恥功名不于天下也=
① 我の小節を羞ぢ不して功名の天下に顕れ不るを恥ずるを知ればなり。
であることは、「事実」である。
加へて、
(二〇)
④ 不漢文
④ 不漢文
④ 漢文を読ま不る可から不
とすれば、これ以上、
④ 不漢文
といふ「返り点」を、「説明」する必要は無い。
加へて、
(二一)
⑤ 恐衆狙之不一レ於己
⑤ 恐衆狙之不於己
⑤ 衆狙の己に馴れ不るを恐る。
といふ、「一二点による説明」を行ふ限り、
教えて! goo
s質問者:noname#100659
s投稿日時:2005/11/20 01:10
s漢文についてお聞きします。
s漢文の教科書に次のような文章が出てきます。
s例文は有名な朝三暮四です。
s 衆狙之 不一レ 於己
sこれなのですが、打ち方はこれ一通りと決まっていますか?
s次のように打つと何がいけないのでしょうか?
s同じように読めてしまうような気がするのですが・・・。
s衆狙之 不 於己
s右の打ち方だと何が問題でしょうか?
s同じにはなりませんでしょうか?
といふ「疑問」は、有り得ない。
従って、
(〇一)~(二一)により、
(二二)
「レ点を含む、返り点」の説明は、「逐次的説明」に頼るのではなく、
① レ点 を用ゐなければ、かうである。
だけれども、この場合は、
② レ点 を用ゐるのが、「ルール」なので、
③ 正しくは、かうである。
といった、「一二点による説明」を、行ふべきである。
平成二七年〇二月二五日、毛利太。

2015年2月20日金曜日

「括弧」と「返り点」。

ブロガー七
このブログは、PC上では「縦書き」で表示され、マウスポインタが、「縦書きの部分」にある時に、マウスのホイールを回すと、左右にスクロールし、「横書きの部分」では、上下にスクロールします。下に見えてゐる、スクロールノブでスクロールする場合は、左右にだけスクロールします。
(〇一)
① 聞鳥啼梅樹
① 鳥の梅樹に啼く声を聞く。
② 有常聞鳥啼梅樹
② 常に鳥の梅樹に啼く声を聞り。
従って、
(〇一)により、
(〇二)
① 聞鳥啼梅樹
① 鳥の梅樹に啼く0を聞く。
② 有常聞鳥啼梅樹
② 常に鳥の梅樹に啼く0を聞り。
然るに、
(〇三)
0+1=1
1=1+0
従って、
(〇三)により、
(〇四)
0 は、
有っても無いし、
無くても、有る。
従って、
(〇二)(〇四)により、
(〇五)
① 聞鳥啼梅樹
① 聞鳥啼梅樹
① 鳥の梅樹に啼を聞く。
然るに、
(〇六)
① 聞鳥啼梅樹
① 鳥の梅樹に啼くを聞く。
従って、
(〇五)(〇六)により、
(〇七)
① 聞鳥啼梅樹
① 聞鳥啼梅樹
① 聞鳥啼梅樹
① 鳥の梅樹に啼くを聞く。
従って、
(〇二)(〇七)により、
(〇八)
① 囗囗囗囗囗
① 囗囗囗囗囗
① 囗囗囗囗囗
② 囗囗囗囗囗囗囗
② 囗囗囗囗囗囗囗
② 囗囗囗囗囗囗囗
③ 囗囗囗囗囗囗囗囗囗
③ 囗囗囗囗囗囗囗囗囗
③ 囗囗囗囗囗囗囗囗囗
従って、
(〇三)(〇七)(〇八)により、
(〇九)
0 は、
有っても無いし、
無くても、有る。とするならば、
① 三 二 一。
② 四 三 二 一。
③ 五 四 三 二 一。
といふ「返り点」は、
① 下 二 一 上。
② 乙 下 二 一 上 甲。
③ 地 乙 下 二 一 上 甲 天。
といふ「返り点」で、置き換へることが出来る。
然るに、
(一〇)
③ 囗
③ 囗囗。
従って、
(〇九)(一〇)により、
(一一)
③ レ レ レ レ 。
といふ「返り点」は、
③ 地 乙 下 二 一 上 甲 天。
といふ「返り点」で、置き換へることが出来る。
然るに、
(一二)
④ 不刀断一レ麻=
④ 刀を揮って麻を断一レたんと欲せ不
といふ「返り点」は、
④ 不
④ 刀を揮って麻を断たんと欲せ不
といふ「返り点」で、置き換へることが出来る。
然るに、
(一三)
④ 不
④ 刀を揮って麻を断たんと欲せ不
といふ「返り点」は、
④ 不
④ 刀を揮って麻を断たたんと0
といふ「返り点」で、置き換へることが出来る。
従って、
(一二)(一三)により、
(一四)
④ 不刀断一レ麻。
④ 不
といふ「返り点」は、
④ 不
④ 不
といふ「返り点」で、置き換へることが出来る。
従って、
(一三)(一四)により、
(一五)
④ レ 二 レ 一レ 。
④ 丁 丙 二 一 乙 甲。
といふ「返り点」は、
④ 乙 下 二 一 二 一 上 甲。
といふ「返り点」で、置き換へることが出来る。
従って、
(〇九)(一一)(一五)により、
(一六)
① 三 二 一。
② 四 三 二 一。
③ 五 四 三 二 一。
③ レ レ レ レ 。
④ レ 二 レ 一レ 。
といふ「返り点」は、
① 下 二 一 上。
② 地 乙 下 二 一 上 甲 天。
③ 地 乙 下 二 一 上 甲 天。
④ 乙 下 二 一 二 一 上 甲。
といふ「返り点」で、置き換へることが出来る。
然るに、
(一七)
① 下〔二(一)上〕。
② 地{乙[下〔二(一)上〕甲]天}。
③ 地{乙[下〔二(一)上〕甲]天}。
④ 乙{下〔二(一)二(一)上〕甲}。
従って、
(一六)(一七)により、
(一八)
例へば、
① 三 二 一。
② 四 三 二 一。
③ 五 四 三 二 一。
③ レ レ レ レ 。
④ レ 二 レ 一レ 。
といふ「返り点」は、
① 下 二 一 上。
② 地 乙 下 二 一 上 甲 天。
③ 地 乙 下 二 一 上 甲 天。
④ 乙 下 二 一 二 一 上 甲。
といふ「返り点」と、
① 〔( )〕。
② {[〔( )〕]}。
③ {[〔( )〕]}。
④ [〔( )( )〕]。
といふ「括弧」で、置き換へることが出来る。
従って、
(〇一)~(一八)により、
(一九)
0 は、
有っても無いし、
無くても、有る。とするならば、
①( )=二 一。
②〔 〕=下 上。
③[ ]=乙 甲。
④{ }=地 天。
といふ風に、見なすことが出来る。
従って、
(一九)により、
(二〇)
① 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
② 上 中 下
③ 甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
④ 天 地 人
⑤ レ
といふ「返り点」に対して、
①( )
②〔 〕
③[ ]
④{ }
といふ「括弧」は、
① 二 一
② 下 上
③ 乙 甲
④ 地 天
⑤ 0(空集合)
からなる、「返り点」である。
平成二七年〇二月二〇・二一日、毛利太。

2015年2月17日火曜日

「連続符号」について。

ブロガー六(ハイフン)
このブログは、PC上では「縦書き」で表示され、マウスポインタが、「縦書きの部分」にある時に、マウスのホイールを回すと、左右にスクロールし、「横書きの部分」では、上下にスクロールします。下に見えてゐる、スクロールノブでスクロールする場合は、左右にだけスクロールします。
(〇一)
① 我読(漢文)。
② 我訓読(漢文)。
③ 我常読(漢文)。
に於いて、
① 読 は、動詞。
② 訓読 は、動詞。
③ 常読 は、副詞+動詞。
従って、
(〇二)
① 我読(漢文)。
② 我訓読(漢文)。
③ 我常読(漢文)。
の「訓読」は、
① 我(漢文を)読む。
② 我(漢文を)訓読す。
③ 我常に(漢文を)読む。
である。
加へて、
(〇三)
② 訓読 は、動詞(熟語)。
④ 精読 も、動詞(熟語)。
であるため、
② 我訓読(漢文)=
② 我(漢文を)訓読す。
④ 我精読(漢文)=
④ 我(漢文を)精読す。
である。
従って、
(〇四)
④( ) は、
二 一 に、
等しいため、
④ 我精読漢文
④ 我漢文を精読す。
である。
然るに、
(〇五)
② 訓読
といふ「熟語」は、知ってゐても、
④ 精読
といふ「熟語」は、知らないことは、有り得る。
それ故、
(〇六)
④ 精読(熟語)。
の場合は、「ハイフン(連続符号)」を用ゐて、
④ 我精‐読漢文
④ 我、漢文を精‐読す。
とする。
然るに、
(〇七)
実際には、
④ 我精‐読
の場合は、「マチガイ」であって、おほむね、
④ 我訓‐読
④ 我訓
が、「正しい」。
(〇八)
「正しい」ではなく、
「おほむね、正しい」とするのは、
④ 我訓‐読
④ 我精
では、「ハイフンと、二の間」が、「離れすぎてゐる」からである。
然るに、
(〇九)
④ 我訓精漢文
とすれば、「二」が、『「訓」の右下』に来てしまふ。
然るに、
(一〇)
「世界で使われる全ての文字を共通の文字集合にて利用できるようにしようという考えで作られ、Unix、Windows、Mac OS X、Plan 9[2]、Javaなどで利用されている(ウィキペディア)」とのことである、「Unicodeの漢文用記号」に期待はしたものの、少なくとも、「Unicodeの漢文用記号」に関しては、「無いよりはまし」といふよりも、「無い方がまし」である。
そのため、
(一一)
已むを得ず、
④ 我訓‐精漢文 =
④ 我訓読漢文
とするものの、既に述べた通り、
④ 我訓‐読漢文 =
④ 我精‐読漢文
④ 我精‐読漢文
であっても、「問題は無い」はずである。
従って、
(一二)
「三文字熟語」であれば、
⑤ 奴‐僕‐視
であっても、「問題は無い」はずであり、
「四文字熟語」であれば、
⑥ 比‐肩‐接‐踵一字
であっても、「問題は無い」はずである。
然るに、
(一三)
⑤ 奴‐僕‐視
に関しては、
⑤ 奴‐僕‐視之 。
⑤ 奴僕‐視之
が「正しく」、
⑥ 比‐肩‐接‐踵一時
に関しては、
⑥ 比‐肩‐接‐踵一時 。
⑤ 比i肩接‐踵一時
が、「正しい」。
然るに、
(一四)
 けれども、三点の位置が逆行の原則に違反していることは一目瞭然でしょう。二点の上方ではなく下方に打ってあるのですから。
 しかし、現行の返り点法では、このような付け方が主流なのです。二点「比肩」から下方の三点「接」進み、さらに連続符号で「踵」に下ろせばよろしい、というわけです。
(古田島洋介、これならわかる返り点、2009年、86頁)。
従って、
(一五)
⑥ 比‐肩‐接‐踵一時 。
⑤ 比i肩接‐踵一時
に於ける、
二 三 一。
といふ「返り点」は、通常では、有り得ず、
古田島先生は、そのことを、逆行の原則に違反してゐる。
といふ風に、述べてゐる。
従って、
(一六)
三 二 一。
は「逆行の原則」に適ってゐて、
二 三 一。
は「逆行の原則」に違反してゐるものの、
三〔二(一)〕。
に対して、
二(三〔一)〕。
の場合は、「括弧の規則」にも違反してゐる。
すなはち、
(一七)
( ) を、
( )〕で囲むのであれば、
〔( )〕といふ「形」しか有り得ない。
にも拘わらず、
(〔 )〕となってゐる。といふことから、
二(三〔一)〕。
の場合は、「逆行の原則」と「括弧の規則」に対して、違反してゐる。
平成二七年一七日、毛利太。

2015年2月15日日曜日

漢文の基本構造。

ブロガー五
このブログは、PC上では「縦書き」で表示され、マウスポインタが、「縦書きの部分」にある時に、マウスのホイールを回すと、左右にスクロールし、「横書きの部分」では、上下にスクロールします。下に見えてゐる、スクロールノブでスクロールする場合は、左右にだけスクロールします。
(〇一)
 漢文の基本構造
(一)主述関係 主語―述語
(二)修飾関係 修飾語―被修飾語
(三)補足関係 叙述語―補足語
(四)並列関係 並列語―並列語
漢語の文法は、上述の基本構造における語順が、その重要な基礎になっているのであって、その実詞は、単に語順による結合によって、連語を構成していることが多い。それで、この点からいえば、漢語の文法は、比較的簡単であるともいうことができる(鈴木直治著、中国語と漢文、1975年、281~5頁、抜粋)。
従って、
(〇二)
 漢文の基本構造
(一) 主語―述語
(二)修飾語―被修飾語
(三)叙述語―補足語
(四)並列語―並列語
であるものの、これらを、
 漢文の基本構造
(一) 主語▽述語
(二)修飾語+被修飾語
(三)叙述語(補足語)
(四)並列語・並列語
とする。
従って、
(〇二)により、
(〇三)
① 我▽常+愛(父・母)。
であれば、
① 我 は「主語」 であって、
① 常 は「修飾語」であって、
① 愛 は「叙述語」であって、
① 父 は「補足語」であって、
① 母 は「補足語」であって、
① 父母 は「並列語」である。
従って、
(〇四)
① 我▽常+愛(父・母)。
① 我、常に父母を愛す。
の場合は、
(一)主述関係
(二)修飾関係
(三)補足関係
(四)並列関係
といふ「四つの構造」を、含んでゐる。
従って、
(〇五)
常に父母を愛す。
の場合は、
▽常+愛(父・母)。
といふ風に、
(一)主語 と、
(三)補足語 が、
「省略」されてゐる。
(〇六)
② 西+山▽緑。
であれば、
② 西の山は緑である(Western mountain is green)。
である。
従って、
(〇六)により、
(〇七)
③ 西山緑さん。
は、
③ 西山緑。
であって、
② 西+山▽緑。
ではない。
従って、
(〇二)(〇七)により、
(〇八)
③ 西山緑は先生なり。
は、
③ 西山緑▽先生也。
である。
(〇九)
④ 天下を三分す。
の場合は、
④(誰かが)天下を、三つに(副詞)分ける。
であるが、
① 常+愛
② 西+山
がさうであるやうに、
(二)副詞 ―動詞。
(二)形容詞―名詞。
は、
(二)修飾語+被修飾語
である。
従って、
(〇二)(〇九)により、
(一〇)
④ 天下を三分す(主語は省略)。
であれば、
④ ▽三+分(天下)。
である。
ただし、
(一一)
三分す。
を、「熟語」とするのであれば、
④ 天下を三分す(主語は省略)。
の場合は、
④ ▽三‐分(天下)。
とする。
(一二)
(三)叙述語(補足語)
では、「括弧」が足りないため、
(三)叙述語{[叙述語〔叙述語(補足語)〕]}
とする。
従って、
(〇二)(一二)により、
(一三)
⑤ 我、常に漢文を読まず(全部否定)。
であれば、
⑤ 我▽常+不〔読(漢文)〕。
であって、
⑥ 我、常には漢文を読まず(部分否定)。
であれば、
⑥ 我▽不〔常+読(漢文)〕。
である。
(一四)
⑦ 天帝、我をして百獣に長たら使めず。
であれば、
⑦ 天帝▽不[使〔我▽長(百獣)〕]。
であるため、
⑦ 天帝不使我長百獣。
の場合は、「主語▽」が、二つ有る。
(一五)
たとえば「友だちと」という意味で「友と」と言いたいとき、漢文では「与友」と書く。「与」が前置詞、「友」が名詞です。ちょうど英語の〈with my friends〉と同じ語順で、「与」が〈with〉に相当します(古田島洋介、これならわかる返り点、2009年、14頁)。
従って、
(一五)により、
(一六)
⑧ 我、張良を呼びて張良と与に倶に去らんと欲す。
であれば、
⑧ 我▽欲〔呼(張良)与(張良)俱+去〕。
である。
従って、
(一六)により、
(一七)
⑧ 張良を呼びて与に倶に去らんと欲す。
であれば、
⑧ 我 と、
⑧ with 張良 の、
⑧ 張良 が、「省略」されてゐるため、
⑧ ▽欲〔呼(張良)与( )俱+去〕。
である。
(一八)
⑨ 君子は其の人を養ふ所以の者を以て人を害せず。
であれば、
⑨ 君子▽不{以[其+所‐以〔養(人)〕+者]害(人)}。
である。
(一九)
⑩ 籍をして誠に、妻子を畜ひ飢寒を憂ふるを以て心を乱さず銭財有りて以て医薬を済さ使む。
であれば、
⑩ ▽使{籍▽誠+不[以〔畜(妻・子)憂(飢・寒)〕乱(心)]有(銭・財)以( )済(医・薬)}。
であるが、この場合、
以( )の、
以 は、「接続詞」でない限り、
以(銭・財)の、「銭・財」が「省略」されてゐる。
従って、
(〇一)~(一九)により、
(二〇)
「漢文の基本構造」が、
(一)主述関係 主語―述語
(二)修飾関係 修飾語―被修飾語
(三)補足関係 叙述語―補足語
(四)並列関係 並列語―並列語
からなるのであれば、
① 我常愛父母。
② 西山緑。
③ 西山緑先生也。
④ 三分天下。
⑤ 我常不読漢文。
⑥ 我不常読漢文。
⑦ 天帝不使我長百獣。
⑧ 欲呼張良与俱去。
⑨ 君子不以其所以養人者害人。
⑩ 使籍誠不以畜妻子憂飢寒乱心有銭財以済医薬。
といふ「漢文」は、
① 我▽常+愛(父・母)。
② 西+山▽緑。
③ 西山緑▽先生也。
④ ▽三‐分(天下)。
⑤ 我▽常+不〔読(漢文)〕。
⑥ 我▽不〔常+読(漢文)〕。
⑦ 天帝▽不[使〔我▽長(百獣)〕]。
⑧ ▽欲〔呼(張良)与( )俱+去〕。
⑨ 君子▽不{以[其+所‐以〔養(人)〕+者]害(人)}。
⑩ ▽使{籍▽誠+不[以〔畜(妻・子)憂(飢・寒)〕乱(心)]有(銭・財)以( )済(医・薬)}。
といふ「構造(シンタックス)」を、してゐる。
平成二七年〇二月一五日、毛利太。

2015年2月12日木曜日

「括弧」はあります!

ブロガー肆(括弧は有ります)
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(〇一)
和文の否定は文の最後尾につきます。「~ではない」という形式です。すると、直前の語を否定しているのか、文全体を否定しているのか、別の語や句読点を補わない限り区別がつかなくなります。論理結合子が複雑に入り組んでいる「(Aならば、Bではなく、かつCである)ことはない」のような文を、自然に和文に表現するなど不可能といってよいでしょう。
(新井紀子、数学は言葉、2009年、123頁)
然るに、
(〇二)
和文の否定は文の最後につき、
漢文の否定は文の最初につくものの、
結果に於いては、例へば、次の通りである。
(〇三)
①のほうは、古注といって、伝統的な解釈であるが、
②のほうは、新注といって、朱熹(朱子)の解釈なのである。返り点をつけると、
① 不祝鮀之佞、而有宋朝之美
② 不祝鮀之佞、而有宋朝之美
このように「不」が頭にきているときは、どこまでかかるのか、ということをじっくり押さえてみることだ。
(二畳庵主人、漢文法基礎、1984年、326頁改)
然るに、
(〇四)
① 不祝鮀之佞、而有宋朝之美
② 不祝鮀之佞、而有宋朝之美
といふ「返り点」を、「括弧」で表せば、
① 不〔有(祝鮀之佞)〕而有(宋朝之美)。
② 不〔有(祝鮀之佞)而有(宋朝之美)〕。
といふことになり、いづれにせよ、
① 祝鮀の佞が無くて、宋朝の美は有る。
② 祝鮀の佞が無いか、宋朝の美が無いか、その両方が無い。
といふ、意味である。
然るに、
(〇五)
① 不祝鮀之佞
① 祝鮀の佞有らず。
に関しては、
① 不祝鮀之佞
① 祝鮀の佞ら不
であるため、
① 不〔有(祝鮀之佞)〕。
② 〔(祝鮀之佞)有〕不。
に於いて、
① は「漢文の語順」であり、
② は「和文の語順」である。
然るに、
(〇六)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。その補足構造における語順は、国語とは全く反対である(鈴木直治著、中国語と漢文、1975年、296頁)。
目的語と補語とは、それほど区別する必要がないので、両方併せて、補足語と呼んだり、単に補語と呼んだりしている(数研出版、基礎からの漢文、1993年、26頁)。
従って、
(〇五)(〇六)により、
(〇七)
① 不有祝鮀之佞。
といふ「漢文」に於ける、
① 不〔有(祝鮀之佞)〕。
〔(祝鮀之佞)有〕不。
不〔有(祝鮀之佞)
不〔有(祝鮀之佞)有
を見れば、
① 不 の補語は、「有祝鮀之佞」であって、
① 有 の補語は、「祝鮀之佞」 である。
といふことが分る。
従って、
(〇七)により、
(〇八)
① 不〔有(祝鮀之佞)〕。
に於ける、
①〔( )〕。
といふ「括弧」は、
① 不有祝鮀之佞。
といふ「漢文」の、
①「補足構造」
を、表してゐる。
従って、
(〇八)により、
(〇九)
① 不〔有(祝鮀之佞)〕。
の「否定」である、
② 非[不〔有(祝鮀之佞)〕]=
② ~(~∃ⅹ(祝鮀之佞ⅹ)))。
に於ける、
②[〔( )〕]。
といふ「括弧」は、
② 非不有祝鮀之佞。
② 祝鮀之佞有ら不るに非ず(二重否定)。
といふ「漢文」に於ける、
②「補足構造」
を、表してゐる。
然るに、
(一〇)
括弧は、論理演算子のスコープ(scope)を明示する働きを持つ。スコープは、論理演算子の働きが及ぶ範囲のことをいう。(産業図書、数理言語学辞典、2013年、47頁:命題論理、今仁生美)。
管到というのは「上の語が、下のことばのどこまでかかるか」ということである(二畳庵主人、漢文法基礎、1984年、389頁)。
従って、
(〇九)(一〇)により、
(一一)
② 非[不〔有(祝鮀之佞)〕]=
② ~(~∃ⅹ(祝鮀之佞ⅹ)))。
に於ける、
②[〔( )〕]。
といふ「括弧」は、
② 非不有祝鮀之佞。
② 祝鮀之佞有ら不るに非ず。
といふ「漢文」に於ける、
②「補足構造」と、
②「管到(スコープ)」を、
表してゐる。
従って、
(一一)により、
(一二)
例へば、
③ 知我不小節而恥功名不上レ于天下也。
といふ「返り点」に対する、
③ 知{我不〔羞(小節)〕而恥[功名不〔顕(于天下)〕]}也。
に於ける、
③{〔( )〕[〔( )〕]}
といふ「括弧」も、
③ 知我不羞小節而恥功名不顕于天下也。
③ 我の小節を羞ぢ不して、功名の天下に顕れ不るを恥づるを知ればなり(管鮑の交)。
③ 私(管仲)が小節を羞ぢずに、功名が天下に顕れないことを恥ぢることを、彼(鮑叔)は知っていたからである。
といふ「漢文」に於ける、
③「補足構造」と、
③「管到(スコープ)」を、
表してゐる。
従って、
(〇一)~(一二)により、
(一三)
私が、思ふに、
① 不有祝鮀之佞。
② 非不有祝鮀之佞。
③ 知我不羞小節而恥功名不顕于天下也。
といふ「漢文」には、固より、
① 不〔有(祝鮀之佞)〕。
② 非[不〔有(祝鮀之佞)〕]。
③ 知{我不〔羞(小節)〕而恥[功名不〔顕(于天下)〕]}也。
といふ「補足構造(スコープ)」が、有って、その、
①〔( )〕。
②[〔( )〕]。
③{〔( )〕[〔( )〕]}
に対して、
① レ 二 一。
② レ レ 二 一。
③ 下 レ 二 一 中 上レ 二 一。
といふ「返り点」が、付けられてゐる。
(一四)
① 不祝鮀之佞、而有宋朝之美
② 不祝鮀之佞、而有宋朝之美
に於いて、
どちらの「返り点」が、「正しい」かといふ「議論」は、
要するに、
① 不〔有祝鮀之佞〕而有宋朝之美。
② 不〔有祝鮀之佞而有宋朝之美〕。
に於いて、
どちらの「管到(スコープ)」が、「正しい」のかといふ「議論」であるが、
① 有(祝鮀之佞)而有(宋朝之美)。
② 有(祝鮀之佞)而有(宋朝之美)。
③ ∃ⅹ(祝鮀之佞ⅹ)&∃ⅹ(宋朝之美ⅹ)
といふ「管到(スコープ)」に関しては、「当然過ぎる」が故に、「議論」にはならないと、すべきである。
従って、
(一五)
「直読」か「訓読」かは、日本の中国研究者にとって長年の課題であり、たえず蒸し返された問題であった(勉誠出版、「訓読論」、2008年、3頁:中村春作)。
といふことは、ともかくとして、例へば、
① 不有祝鮀之佞。
② 非不有祝鮀之佞。
③ 知我不羞小節而恥功名不顕于天下也。
といふ「漢文」であれば、
①〔( )〕。
②[〔( )〕]。
③{〔( )〕[〔( )〕]}
といふ「括弧」は、有ります。
平成二七年〇二月一二・三日、毛利太。

2015年2月11日水曜日

「返り点」と「括弧」(2.0)。

ブロガー参
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(〇一)
①( )
②〔 〕
③[ ]
④{ }
に於いて、
{ }の中に、一つ以上の[ ]があり、
[ ]の中に、一つ以上の〔 〕があり、
〔 〕の中に、一つ以上の( )がある。
といふ「規則」を、「括弧の規則」とし、
① 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
② 上 中 下
③ 甲 乙 丙 丁 戊 ・ ・ ・ ・ ・
④ 天 地 人
に於いて、
① を挟んで返る場合には、
② を用ゐ、
② を挟んで返る場合には、
③ を用ゐ、
③ を挟んで返る場合には、
④ を用ゐる。
といふ「規則」を、「返り点の規則」とする。
(〇二)
下 二 一 中 上=
下〔二(一)中(上)〕。
に於いて、
下〔 〕を、
 〔 〕下 に変へ、
二( )を、
 ( )二 に変へ、
中( )を、
 ( )中 に変へると、
〔(一)二(上)中〕下=
〔(一 二 上 中 下。
従って、
(〇二)により、
(〇三)
下 二 快一 中 乱上=
下〔二(快一)中(乱上)〕。
に於いて、
下〔 〕を、
 〔 〕下 に変へ、
二( )を、
 ( )二 に変へ、
中( )を、
 ( )中 に変へると、
〔(快一)二(乱上)中〕下=
〔(快一 二 乱上 中 下。
従って、
(〇三)により、
(〇四)
如 揮 快刀 断 乱麻=
如〔揮(快刀)断(乱麻)〕。
に於いて、
如〔 〕を、
 〔 〕如 に変へ、
揮( )を、
 ( )揮 に変へ、
断( )を、
 ( )断 に変へると、
〔(快刀)揮(乱麻)断〕如=
〔(快刀 揮 乱麻 断 如。
従って、
(〇二)~(〇四)により、
(〇五)
快刀乱麻
快刀を揮って乱麻を断つが如し。
に於ける「返り点と括弧」は、
下〔二(一)中(上)〕。
である。
(〇六)
丁 丙 下 二 一 上 乙 甲=
丁{丙[下〔二(一)上〕乙(甲)]}。
に於いて、
丁{ }を、
 { }丁 に変へ、
丙[ ]を、
 [ ]丙 に変へ、
下〔 〕を、
 〔 〕下 に変へ、
二( )を、
 ( )二 に変へ、
乙( )を、
 ( )乙 に変へると、
{[〔(一)二 上〕下(甲)乙]丙}丁=
{[〔(一 二 上 下 甲 乙 丙 丁。
従って、
(〇六)により、
(〇七)
我丁 必丙 下 二 中国一 上 乙 漢甲=
我丁{必丙[下〔二(中国一)上〕乙(漢甲)]}。
に於いて、
丁{ }を、
 { }丁 に変へ、
丙[ ]を、
 [ ]丙 に変へ、
下〔 〕を、
 〔 〕下 に変へ、
二( )を、
 ( )二 に変へ、
乙( )を、
 ( )乙 に変へると、
我{必[〔(中国一)二上〕下(漢甲)乙]丙}丁=
我 必   中国一 二上 下 漢甲 乙 丙 丁。
従って、
(〇七)により、
(〇八)
我不 必欲 以 読 中国語 法 解 漢文=
我不{必欲[以〔読(中国語)法〕解(漢文)]}。
に於いて、
不{ }を、
 { }不 に変へ、
欲[ ]を、
 [ ]欲 に変へ、
以〔 〕を、
 〔 〕以 に変へ、
読( )を、
 ( )読 に変へ、
解( )を、
 ( )解 に変へると、
我{必[〔(中国語)読法〕以(漢文)解]欲}不=
我 必[〔(中国語 読法以 漢文 解 欲 不。
従って、
(〇六)~(〇八)により、
(〇九)
我不必欲中国語漢文
我必ずしも中国語を読む法を以て漢文を解せんことを欲不。
に於ける「返り点と括弧」は、
丁{丙[下〔二(一)上〕乙(甲)]}。
である。
従って、
(〇一)(〇五)(〇九)により、
(一〇)
快刀乱麻
下〔二(一)中(上)〕。
我不必欲中国語漢文
丁{丙[下〔二(一)上〕乙(甲)]}。
は、二つとも、「括弧の規則」と「返り点の規則」を、満たしてゐる。
然るに、
(一一)
例へば、
我不必欲以読法中国語解漢文=
我不必欲中国語漢文
我必ずしも中国語を読む法を以中て漢文を解せんことを欲せ不
であったとする。
従って、
(一二)
丁{丙[下〔二(一)上〕乙(甲)]}。
ではなく、例へば、
丁{丙[下〔二(上〕一)
丁{丙[下〔二(一)上〕を含む、
丁{丙[下〔二(上〕一)乙(甲)]}。
であったとする。
然るに、
(一三)
丁{丙[下〔二(上〕一)
丁{丙[下〔二(一)上〕を含む、
丁{丙[下〔二(上〕一)乙(甲)]}。
は、「括弧の規則」と「返り点の規則」を、満たしてゐない。
(一四)
下〔二(一)中(上)〕。
を、例へば、
下{二(中[上〔一)〕]}。
に変へた場合も、
下 二 中 上 一。 
{([〔 )〕]}。
は、「括弧の規則」と「返り点の規則」を、満たしてゐない。
従って、
(一〇)(一四)により、
(一五)
「括弧の規則」を満たすならば、その時に限って、
「返り点の規則」を、満たしてゐる。
然るに、
(一六)
例えば、
漢文
漢文を読まざるに非ず。
といふ「返り点」は、
漢文
漢文を読ま不るに非ず。
といふ「返り点」に、等しい。
(一七)
衆狙之不二レ於己
衆狙の己に馴れ不るを恐る(朝三暮四)。
といふ「返り点」は、
衆狙之不於己
衆狙の己に馴れ不るを恐る。
といふ「返り点」に、等しい。
(一八)
一レ心=
処として心を傷ましめ不るは無し。
といふ「返り点」は、
処不
処として心を傷ましめ不るは無し。
といふ「返り点」に、等しい。
従って、
(一六)~(一八)により、
(一九)
レ レ 二 一。
二 一レ 二 一。
二 一レ レ レ。
は、
四[三〔二(一)〕]。
で、表すことが、出来る。
(二〇)
有〔読(書)者〕=
書を読む者有り。
の「返り点」は、
書者
であって、
有〔読(漢文)者〕=
漢文を読む者有り。
の「返り点」は、
漢文
である。
従って、
(二〇)により、
(二一)
二 レ 一。
は、
下〔二(一)上〕。
で表すことが、出来る。
従って、
(一五)(一九)(二一)により、
(二三)
⑤ レ は、
① 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
② 上 中 下
③ 甲 乙 丙 丁 戊 ・ ・ ・ ・ ・
④ 天 地 人
で「置き換へ」ることが出来、
① 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
② 上 中 下
③ 甲 乙 丙 丁 戊 ・ ・ ・ ・ ・
④ 天 地 人
⑤ レ
に於いて、「返り点の規則」を、満たしてゐるならば、
①( )
②〔 〕
③[ ]
④{ }
に於いて、「括弧の規則」を、満たしてゐる。
(二四)
①( )
②〔 〕
③[ ]
④{ }
で足りない場合は、
⑤〈 〉
とするものの、
①( )
②〔 〕
③[ ]
④{ }
⑤〈 〉
であれば、概ね、
① 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
② 上 中 下
③ 甲 乙 丙 丁 戊 ・ ・ ・ ・ ・
④ 天 地 人
⑤ レ
の「全体」を、カバーする。
(二五)
「何不カフ」の二音が「盍カフ(コウ)」の一音につまったもので、「蓋」と同じに用いる(高校基礎漢和辞典、1984年、558頁)とあるやうに、
盍=何(副詞)+不(助動詞)
であるため、一字に見えても、実際には一字ではない。
従って、
(二五)により、
(二六)
盍 〔読(漢文)〕=
何不〔読(漢文)〕=
何〔(漢文)読〕不=
何ぞ〔(漢文を)読ま〕不る。
従って、
(二六)により、
(二七)
再読文字=副詞+助動詞
であって、それ故、
副詞 の部分は、「上から下の順」で読み、
助動詞の部分は、「下から返って」読む。
平成二七年〇二月一一日、毛利太。

2015年2月9日月曜日

「ソート」としての「返り点」。

ブロガー弐
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(〇一)
刀断一レ麻=
刀を揮って麻を断つが如し。
(〇二)
刀断乱麻
刀を揮って乱麻を断つが如し。
(〇三)
快刀上レ麻=
快刀を揮って麻を断つが如し。
(〇四)
快刀乱麻
快刀を揮って乱麻を断つが如し。
然るに、
(〇五)
快刀乱麻
快刀を揮って乱麻を断つが如し。
といふ「返り点」は、
快刀乱麻
快刀を揮って乱麻を断つが如し。
といふ「番号」で、「置き換へ」ることが出来る。
従って、
(〇一)~(〇五)により、
(〇六)
二 レ 一レ 。
三 レ 二 一。
下 二 一 上レ。
下 二 一 中 上。
といふ「返り点」は、
五 二 一 四 三。
といふ「番号」に、「置き換へ」ることが出来る。
(〇七)
書=
書を読ま不るに非ず。
(〇八)
漢文
漢文を読ま不るに非ず。
然るに、
(〇九)
漢文
漢文を読ま不るに非ず。
といふ「返り点」は、
漢文
漢文を読ま不るに非ず。
といふ「番号」で、「置き換ることが出来る。
従って、
(〇七)(〇八)(〇九)により、
(一〇)
レ レ レ 。
レ レ 二 一。
といふ「返り点」は、
四 三 二 一。
といふ「番号」に、「置き換へ」ることが出来る。
(一一)
心=
心を傷ましめ不るは無し。
(一二)
処不一レ心=
処として心を傷ましめ不るは無し。
然るに、
(一三)
処不一レ心=
処として心を傷ましめ不るは無し。
といふ「返り点」は、
処不
処として心を傷ましめ不るは無し。
といふ「番号」で、「置き換へ」ることが出来る。
従って、
(一一)(一二)(一三)により、
(一四)
レ レ レ 。
二 一レ レ。
といふ「返り点」は、
四 三 二 一。
といふ「番号」に、「置き換へ」ることが出来る。
(一五)
我不小節而恥功名不上レ于天下也=
我の小節を羞ぢ不して、功名の天下に顕れ不るを恥づるを知ればなり。
(一六)
我不小節而恥功名不常顕于天下也=
我の小節を羞ぢ不して、功名の常には天下に顕れ不るを恥づるを知ればなり。
然るに、
(一七)
我不小節而恥功名不常顕于天下也=
我の小節を羞ぢ不して、功名の常には天下に顕れ不るを恥づるを知ればなり。
といふ「返り点」は、
我不小節而恥功名不常顕于天下也=
我の小節を羞ぢ不して、功名の常には天下に顕れ不るを恥づるを知ればなり。
といふ「番号」で、「置き換ることが出来る。
従って、
(一五)(一六)(一七)により、
(一八)
下 レ 二 一 中 上レ 二 一。
戊 レ 二 一 丁 丙 乙 甲。
といふ「返り点」は、
八 三 二 一 七 六 五 四。
といふ「番号」に、「置き換へ」ることが出来る。
従って、
(〇一)~(一八)により、
(一九)
例へば、
二 レ 一レ 。
三 レ 二 一。
下 二 一 上レ。
下 二 一 中 上。
レ レ レ 。
レ レ 二 一。
二 一レ レ レ。
下 レ 二 一 中 上レ 二 一。
戊 レ 二 一 丁 丙 乙 甲。
といふ「返り点」は、
五 二 一 四 三。
四 三 二 一。
八 三 二 一 七 六 五 四。
といふ「番号」に、「置き換へ」ることが出来る。
然るに、
(二〇)
数を小さい方から大きい方へ、アルファベットをAからZへ、日付を古い方から新しい方へ、といったように、本来の順序や自然な順序に並べ替えることを昇順(ascending order)ソート、その逆を降順(descending order)ソートという〔IT用語辞典〕。
従って、
(二〇)により、
(二一)
五 二 一 四 三。
四 三 二 一。
八 三 二 一 七 六 五 四。
といふ「番号」を、
一 二 三 四 五。
一 二 三 四。
一 二 三 四 五 六 七 八。
といふ順番に並び替へることを、「ソート」といふ。
従って、
(〇一)~(二一)により、
(二二)
「返り点」を用ゐて「訓読」することは、本質的に、「ソート」である。
然るに、
(二三)
① 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
② 上 中 下
③ 甲 乙 丙 丁 戊 ・ ・ ・ ・ ・
④ 天 地 人
に於いて、
① を挟んで返る場合には、
② を用ゐ、
② を挟んで返る場合には、
③ を用ゐ、
③ を挟んで返る場合には、
④ を用ゐる。
といふ「決まり」が有るため、
五 二 一 四 三。
四 三 二 一。
八 三 二 一 七 六 五 四。
に対する「ソート」は、
下 二 一 中 上。
四 三 二 一。
丁 三 二 一 丁 丙 乙 甲。
に対する「ソート」である。
従って、
(二三)より、
(二四)
例へば、
五 二 四 一 三。
八 三 七 二 一 六 五 四。
であれば、
下 二 中 一 上。
戊 三 丁 二 一 丙 乙 甲。
であるが、
二 中 一
三 丁 二
を含む。が故に、
下 二 中 一 上。
戊 三 丁 二 一 丙 乙 甲。
といふ「順番」、すなはち、
五 二 四 一 三。
八 三 七 二 一 六 五 四。
といふ「順番」の「ソート」は、「返り点」では、有り得ない。
従って、
(二二)(二四)により、
(二五)
「返り点」を用ゐて「訓読」することは、「ソート」であるが、「単なるソート」ではない。
従って、
(二六)
どのやう「語順」に対しても、「返り点」を付けることが出来る。といふわけではなく、例へば、
江戸時代前期(享保十一年)に作られた白話文の辞書を繙いてみよう。
只‐管要
ヒタスラ 我ガ ヤツカイニナル 『唐話纂要』
(勉誠出版、続「訓読論」、2010年、312頁:川島優子)
に於いて、
下 二 上 一。
は「返り点」ではない。
(二七)
読文訓漢 を、
漢文を訓読する。
と「訓読」するためには、

といふ風に、せざるを得ないが、


に於ける、
下 二 上 一。
は、決して、「返り点」ではない。
然るに、
(二八)
近代に至るまで、白話は、民衆語として低俗なものとされていたが、1917年(民国6年)、胡適が、アメリカから雑誌『新青年』に「文学改良芻議」を寄稿し、近代的プラグマティズムの観点から、難解な文語文を廃して口語文にもとづく白話文学を提唱した(ウィキペディア:白話)。
従って、
(二六)(二八)により、
(二九)
只‐管要
ヒタスラ 我ガ ヤツカイニナル 『唐話纂要』
といふ「言ひ方」は、幸いにも、「漢文」ではない。
平成二七年〇二月〇九日、毛利太。

2015年2月8日日曜日

「返り点」の基本(2)。

ブロガー壱
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(〇一)
「返り点」とは、
① 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
② 上 中 下
③ 甲 乙 丙 丁 戊 ・ ・ ・ ・ ・
④ 天 地 人
⑤ レ
⑥ ‐(ハイフン)
を、言ふ。
(〇二)
読教科書=
教科書を読む。
の「返り点」 を、

を読む。
とするのは、「マチガイ」であって、
教科書
教科書を読む。
が、「正しい」。
(〇三)
読教科書学漢文=
教科書を読み漢文を学ぶ。
の「返り点」 を、
教科書漢文
教科書を読み漢文を学ぶ。
とするは、「マチガイ」であって、
教科書漢文
教科書を読み漢文を学ぶ。
が、「正しい」。
従って、
(〇二)(〇三)により、
(〇四)
四 一 二 三。
二 一 四 三。
は「マチガイ」であって、
二 一。
二 一 二 一。
が「正しく」、このことは、「基本中の基本」である。
(〇五)
① 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
② 上 中 下
③ 甲 乙 丙 丁 戊 ・ ・ ・ ・ ・
④ 天 地 人
に於いて、
① を挟んで返る場合には、
② を用ゐ、
② を挟んで返る場合には、
③ を用ゐ、
③ を挟んで返る場合には、
④ を用ゐる。
といふ「決まり」が有って、このことも、「基本」である。
従って、
(〇四)(〇五)により、
(〇六)
四 二 一 三。
五 二 一 四 三。
五 四 二 一 三
は、「マチガイ」であって、
下 二 一 上。
下 二 一 中 上。
下 中 二 一 上。
が、「正しい」。
従って、
(〇六)により、
(〇七)
有読教科書者=
教科書を読む者有り。
は、
教科書
教科書を読む者り。
が「正しく」、
如揮快刀断乱麻=
快刀を揮って乱麻を断つが如し。
は、
快刀乱麻
快刀を揮って乱麻を断つが如し。
が「正しく」、
不常聞鳥啼梅樹声=
常には鳥の梅樹に啼く声を聞かず。
は、
常聞鳥啼梅樹
常には鳥の梅樹に啼く声を聞か不
が「正しい」。
然るに、
(〇八)
① 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
③ 甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
とは異なり、
② 上 中 下
④ 天 地 人
は、三つしかない。
従って、
(〇七)(〇八)により、
(〇九)
不欲揮快刀断乱麻=
快刀を揮って乱麻を断たんと欲せず。
に対して、
不必欲揮快刀断乱麻=
必ずしも 快刀を揮って乱麻を断たんと欲せず。
の場合は、已むを得ず、
② 上 中 下
ではなく、
③ 甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
を、用ゐて、
必欲快刀乱麻
必ずしも快刀を揮って乱麻を断たんと欲せ不
とする。
従って、
(〇七)(〇九)により、
(一〇)
下 二 一 上。
下 中 二 一 上。
下 二 一 中 上。
丁 丙 二 一 乙 甲。
が、正しい。
然るに、
(一一)
例へば、
四 二 一 三 ⇔
下 二 一 上。
ではなく、
二 四 一 三。
であったとする。
然るに、
(一二)
(3)上中下点(上・下、上・中・下)
レ点・一二点だけで示しきれない場合。必ず一二点をまたいで返る場合に用いる(数学の式における( )が一二点で、{ }が上中点に相当しりものと考えるとわかりやすい)。〔原田種成、私の漢文講義、1995年、43頁〕
従って、
(一一)(一二)により、
(一三)
二 四 一 三 ⇔
二 下 一 上。
でなければ、ならないが、
その一方で、
{( )}
に対して、
({ )}
といふ形の「括弧」は、有り得ない。
従って、
(一三)により、
(一四)
{( )}
に対して、
({ )}
といふ形の「括弧」が、有り得ないやうに、
二 四 一 三 ⇔
二 下 一 上。
といふ形の「返り点」も、存在しない。
加へて、
(一五)
二 3 一。
二 4 一 3。
二 5 一 4。
二 6 一 5。
・・・・・・。
といふ「順番」を表す「返り点」も、存在しない。
従って、
(一六)
2 3 1。
といふ「数字の順番」になるやうに、「返り点」を付けよ。
といふ「問題」がある場合には、実際には、
理‐解 文=
文を、理‐解す。
のやうな、
2‐3 1。
に対して、
二 一。
といふ「返り点」を、付けることになる。
然るに、
(一七)
「ハイフン」を付けることが出来るのは、
2‐3
2‐3‐4
2‐3‐4‐5
・ ・ ・ ・ ・ 。
のやうな、「昇べき順」の場合に、限られてゐるため、
2 4 1 3。
2 5 1 3 4。
2 6 1 4 3 5。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・。
等の「順番」に対しては、「ハイフン」を付けることが、出来ない。
従って、
(一五)(一七)により、
(一八)
2 4 1 3。
2 5 1 3 4。
2 6 1 4 3 5。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・。
等の「順番」に対しては、原理的に、「返り点」を付けることが、出来ない。
(一九)
不欲揮快刀断乱麻=
快刀を揮って乱麻を断たんと欲せず。
の「返り点」は、
快刀乱麻
快刀を揮って乱麻を断たんと欲せず。
であって、
不欲揮刀断麻=
刀を揮って麻を断たんと欲せず。
の「返り点」は、
刀断一レ麻=
刀を揮って麻を断たんと欲せず。
である。
従って、
(一九)により、
(二〇)
① 一 二・点
② 上 下・点
③ 甲 乙・点
④ 天 地・点
⑤ レ点
に於いて、
⑤ レ点
は、
① 一 の下にも、
① 一二 の中にも、
① 二 の上にも、
② 下 の上にも、
置くことが、出来るし、
加へて、
(二一)
安止以天宇衣太於曽加之幾己一レ計世上レ寸州甲レ知波奈乃仁祢天レ比。
であるため、
まほあといてうえたおそかしさくきこけせつちはなのぬにねへふひ=
あいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなにぬねのはひへほま。
に付く「返り点」は、
レ 地 丙 乙 下 中 レ 二 レ 一レ 上レ
甲レ 三 二 レ 一 天レ レ。
である。
従って、
(二一)により、
(二二)
二 一レ
だけでなく、
中 上レ
乙 甲レ
地 天レ
といふ「返り点」は、「可能」である。
然るに、
(二三)
二 一レ
中 上レ
乙 甲レ
地 天レ
は、
三 二 一
下 中 上
丙 乙 甲
人 地 天
に対する、「書き換へ」に過ぎない。
然るに、
(二四)
三 二レ 一
下 中レ 上
丙 乙レ 甲
人 地レ 天
であるならば、
レ で、二に返り、一から、二に返る。
レ で、中に返り、上から、中に返る。
レ で、乙に返り、甲から、乙に返る。
レ で、地に返り、天から、地に返る。
ことに、なる。
従って、
(二二)(二四)により、
(二五)
二 一レ
中 上レ
乙 甲レ
地 天レ
に対して、
三 二レ 一
下 中レ 上
丙 乙レ 甲
人 地レ 天
等は、有り得ない。
(二六)
漢文
漢文を読まざるに非ず。
といふ「返り点」は、
漢文
漢文を読ま不るに非ず。
といふ「返り点」に、等しい。
従って、
(二七)
漢文
漢文
のやうな、「使い方」してゐる限り、
「レ点」は、少しも、難しくはない。
然るに、
(二八)
衆狙之不於己
衆狙の己に馴れ不るを恐る。
ではなく、
衆狙之不二レ於己
衆狙の己に馴れ不るを恐る(朝三暮四)。
が、「正しい」。
然るに、
(二九)
三 二 一。
に等しい所の、
二 一レ
といふ「返り点」が無ければ、
衆狙之不一レ於己
といふ「分りにくい、返り点」は、
衆狙之不於己
といふ風に、書かざるを得ないし、固より、
① 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
③ 甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
② 上 中 下 松 竹 梅
④ 天 地 人 間
くらいの「返り点」が有れば、
⑤ レ点
自体が、不要である。
然るに、
(三〇)
数式に於いて、
( )の他に、
{ }を使ふ理由は、
( )だけでは、「読みにくい」からであるが、
① 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
の他に、
② 上 中 下
③ 甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
④ 天 地 人
を使ふ「理由」も、例へば、
使一三籍誠不妻子飢寒而有一〇銭財以済一二医薬一一
籍をして誠に妻子を畜ひ飢寒を憂ふるを以て心を乱銭財一〇りて以て医薬一一を済一二さ使一三む。
のやうに、
① 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
だけを用ゐると、「読みにくい」からである。
然るに、
(三一)
「読みにくい」のとは逆に、
「付けやすさ」から言へば、
① 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
よりも、「付けやすい」それは、有り得ない。
従って、
(二九)(三一)により、
(三二)
① 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
③ 甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
② 上 中 下 松 竹 梅
④ 天 地 人 間
⑤ レ点
に於いて、
「付けやすい返り点」といふことから言へば、

だけの「返り点(番号)」が、「最も簡単」であり、
①+③+②+④
からなる「返り点」が、「その次に簡単」であり、
⑤ レ点
を含む、
①+③+②+④+⑤
からなる、「フルセットの返り点」が、「最も難しい」。
従って、
(三三)
「返り点」が、メチャクチャ苦手な、中高生に対しては、
最初に、
使一三籍誠不妻子飢寒而有一〇銭財以済一二医薬一一
籍をして誠に妻子を畜ひ飢寒を憂ふるを以て心を乱銭財一〇りて以て医薬一一を済一二さ使一三む。
といふ風に、
① 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
だけからなる、「返り点(番号)」を付けることを、勧めたい。
(三四)
その上で、
使一三籍誠不妻子飢寒而有一〇銭財以済一二医薬一一
に対して、
① 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
③ 甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
② 上 中 下
④ 天 地 人
からなら「返り点」を用ゐて、
使籍誠不妻子飢寒而有銭財以済医薬
籍をして誠に妻子を畜ひ飢寒を憂ふるを以て心を乱銭財りて以て医薬を済さ使む。
とすることを、勧めたい。
(三五)
その次に、
① 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
③ 甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
② 上 中 下
④ 天 地 人
に加へて、
⑤ レ点
を用ゐて、
使籍誠不妻子飢寒甲レ心而有銭財以済医薬
とすることを、勧めたい。
(三六)
言沛公不敢背項王=
沛公敢へて項王に背かずと言はん。
であれば、もちろん、
沛公不敢背項王
沛公敢へて項王に背か不と言はん。
である。
然るに、
(三七)
言沛公不背項王=
沛公項王に背かずと言はん。
の場合は、
沛公不項王
沛公項王に背か不と言はん。
は、「マチガイ」であって、
沛公不一レ項王
沛公項王に背かずと言はん。
が、「正しい」。
と決めたのは、多分、明治時代の、文部省である。
(三八)
当初の予定では、「グーグルサイト」を「縦書き」で書き、「ブロガー」は「横書き」とするつもりでゐたのですが、「グーグルサイト」での「縦書き」は、少なくとも、私には、出来そうもなく、そのため、「二つ目のブロガー」を始めた、次第です。
平成二七年〇二月〇八日、毛利太。