2015年2月9日月曜日

「ソート」としての「返り点」。

ブロガー弐
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(〇一)
刀断一レ麻=
刀を揮って麻を断つが如し。
(〇二)
刀断乱麻
刀を揮って乱麻を断つが如し。
(〇三)
快刀上レ麻=
快刀を揮って麻を断つが如し。
(〇四)
快刀乱麻
快刀を揮って乱麻を断つが如し。
然るに、
(〇五)
快刀乱麻
快刀を揮って乱麻を断つが如し。
といふ「返り点」は、
快刀乱麻
快刀を揮って乱麻を断つが如し。
といふ「番号」で、「置き換へ」ることが出来る。
従って、
(〇一)~(〇五)により、
(〇六)
二 レ 一レ 。
三 レ 二 一。
下 二 一 上レ。
下 二 一 中 上。
といふ「返り点」は、
五 二 一 四 三。
といふ「番号」に、「置き換へ」ることが出来る。
(〇七)
書=
書を読ま不るに非ず。
(〇八)
漢文
漢文を読ま不るに非ず。
然るに、
(〇九)
漢文
漢文を読ま不るに非ず。
といふ「返り点」は、
漢文
漢文を読ま不るに非ず。
といふ「番号」で、「置き換ることが出来る。
従って、
(〇七)(〇八)(〇九)により、
(一〇)
レ レ レ 。
レ レ 二 一。
といふ「返り点」は、
四 三 二 一。
といふ「番号」に、「置き換へ」ることが出来る。
(一一)
心=
心を傷ましめ不るは無し。
(一二)
処不一レ心=
処として心を傷ましめ不るは無し。
然るに、
(一三)
処不一レ心=
処として心を傷ましめ不るは無し。
といふ「返り点」は、
処不
処として心を傷ましめ不るは無し。
といふ「番号」で、「置き換へ」ることが出来る。
従って、
(一一)(一二)(一三)により、
(一四)
レ レ レ 。
二 一レ レ。
といふ「返り点」は、
四 三 二 一。
といふ「番号」に、「置き換へ」ることが出来る。
(一五)
我不小節而恥功名不上レ于天下也=
我の小節を羞ぢ不して、功名の天下に顕れ不るを恥づるを知ればなり。
(一六)
我不小節而恥功名不常顕于天下也=
我の小節を羞ぢ不して、功名の常には天下に顕れ不るを恥づるを知ればなり。
然るに、
(一七)
我不小節而恥功名不常顕于天下也=
我の小節を羞ぢ不して、功名の常には天下に顕れ不るを恥づるを知ればなり。
といふ「返り点」は、
我不小節而恥功名不常顕于天下也=
我の小節を羞ぢ不して、功名の常には天下に顕れ不るを恥づるを知ればなり。
といふ「番号」で、「置き換ることが出来る。
従って、
(一五)(一六)(一七)により、
(一八)
下 レ 二 一 中 上レ 二 一。
戊 レ 二 一 丁 丙 乙 甲。
といふ「返り点」は、
八 三 二 一 七 六 五 四。
といふ「番号」に、「置き換へ」ることが出来る。
従って、
(〇一)~(一八)により、
(一九)
例へば、
二 レ 一レ 。
三 レ 二 一。
下 二 一 上レ。
下 二 一 中 上。
レ レ レ 。
レ レ 二 一。
二 一レ レ レ。
下 レ 二 一 中 上レ 二 一。
戊 レ 二 一 丁 丙 乙 甲。
といふ「返り点」は、
五 二 一 四 三。
四 三 二 一。
八 三 二 一 七 六 五 四。
といふ「番号」に、「置き換へ」ることが出来る。
然るに、
(二〇)
数を小さい方から大きい方へ、アルファベットをAからZへ、日付を古い方から新しい方へ、といったように、本来の順序や自然な順序に並べ替えることを昇順(ascending order)ソート、その逆を降順(descending order)ソートという〔IT用語辞典〕。
従って、
(二〇)により、
(二一)
五 二 一 四 三。
四 三 二 一。
八 三 二 一 七 六 五 四。
といふ「番号」を、
一 二 三 四 五。
一 二 三 四。
一 二 三 四 五 六 七 八。
といふ順番に並び替へることを、「ソート」といふ。
従って、
(〇一)~(二一)により、
(二二)
「返り点」を用ゐて「訓読」することは、本質的に、「ソート」である。
然るに、
(二三)
① 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
② 上 中 下
③ 甲 乙 丙 丁 戊 ・ ・ ・ ・ ・
④ 天 地 人
に於いて、
① を挟んで返る場合には、
② を用ゐ、
② を挟んで返る場合には、
③ を用ゐ、
③ を挟んで返る場合には、
④ を用ゐる。
といふ「決まり」が有るため、
五 二 一 四 三。
四 三 二 一。
八 三 二 一 七 六 五 四。
に対する「ソート」は、
下 二 一 中 上。
四 三 二 一。
丁 三 二 一 丁 丙 乙 甲。
に対する「ソート」である。
従って、
(二三)より、
(二四)
例へば、
五 二 四 一 三。
八 三 七 二 一 六 五 四。
であれば、
下 二 中 一 上。
戊 三 丁 二 一 丙 乙 甲。
であるが、
二 中 一
三 丁 二
を含む。が故に、
下 二 中 一 上。
戊 三 丁 二 一 丙 乙 甲。
といふ「順番」、すなはち、
五 二 四 一 三。
八 三 七 二 一 六 五 四。
といふ「順番」の「ソート」は、「返り点」では、有り得ない。
従って、
(二二)(二四)により、
(二五)
「返り点」を用ゐて「訓読」することは、「ソート」であるが、「単なるソート」ではない。
従って、
(二六)
どのやう「語順」に対しても、「返り点」を付けることが出来る。といふわけではなく、例へば、
江戸時代前期(享保十一年)に作られた白話文の辞書を繙いてみよう。
只‐管要
ヒタスラ 我ガ ヤツカイニナル 『唐話纂要』
(勉誠出版、続「訓読論」、2010年、312頁:川島優子)
に於いて、
下 二 上 一。
は「返り点」ではない。
(二七)
読文訓漢 を、
漢文を訓読する。
と「訓読」するためには、

といふ風に、せざるを得ないが、


に於ける、
下 二 上 一。
は、決して、「返り点」ではない。
然るに、
(二八)
近代に至るまで、白話は、民衆語として低俗なものとされていたが、1917年(民国6年)、胡適が、アメリカから雑誌『新青年』に「文学改良芻議」を寄稿し、近代的プラグマティズムの観点から、難解な文語文を廃して口語文にもとづく白話文学を提唱した(ウィキペディア:白話)。
従って、
(二六)(二八)により、
(二九)
只‐管要
ヒタスラ 我ガ ヤツカイニナル 『唐話纂要』
といふ「言ひ方」は、幸いにも、「漢文」ではない。
平成二七年〇二月〇九日、毛利太。

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